年間自殺者数が九年ぶりに三万二千人を下回ったことに寄せて

去年の自殺者数が九年ぶりに三万二千人を下回ったという。

たしかに、警察庁の資料を見てみたら、平成22年度は、前年度に比べて、1 , 1 5 5人も自殺者数が減ったということが指摘されている。

警察庁資料
http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/H22jisatsunogaiyou.pdf

報道を見ると、十三年連続で自殺者数が三万人を超えたということばかり報道されているので、てっきり一向に改善はないと思い込んでいた。
http://www.47news.jp/news/2011/03/post_20110303104102.html

物事には良い面と悪い面が何事にもある。
おそらく、どちらかのみを見るのは偏っているわけで、両方を見ることが大事だろう。
十三年連続三万人超えたということのみでなく、九年ぶりに三万二千人を自殺者数が下回ったということも、もっときちんとマスコミは報じた方が良いのではないか。

自殺者数が若干減ったことにはいろんな要因があるのかもしれない。
湯浅誠さんらの長年の努力や、その努力を政権交代後の政府が大きくバックアップするようになったことも、その要因のひとつではあるように思う。

自殺者数の年度推移を見ると、平成九年(1997年)から平成十年(1998年)にかけて、飛躍的に自殺者数が多くなり、その後おおむね三万二千人以上が一昨年まで続いていたことがわかる。

http://www.t-pec.co.jp/mental/2002-08-4.htm

年間の自殺者数が一千人以上減ってきたのは、日本の政治社会に、一見すぐには見えないところで、良い方向に向かう芽が部分的には起き始めていることの証左ではないかと私は思う。
マスコミはとかくネガティブなことばかり強調し、良い面を見ずに悪い面のみを取り上げるが、良い芽をきちんと認めて伸ばしていくことも大事ではないかと思う。

菅さんは、今年こそは自殺者数を三万人以下にすることを目指すとブログで述べている。どうか平成十年よりも前の自殺者数まで減らすことを官民挙げて目指し、達成して欲しいものだと思う。

http://kanfullblog.kantei.go.jp/2011/03/20110302-2.html

予算すら政争の具に使い、無責任な破壊主義に走る者も残念ながら今の日本には多いようだが、こういうところで地道に取り組み、少しでも不条理を正し、鰥寡孤独の人がなんとか生きられるような、そういう社会をつくっていくことが、権力闘争よりもまずは大事なことではなかろうか。

大学生等々の若者も、自他の命を大事にし、自分の人生や社会の、悪い側面やネガティブな側面のみでなく、良い芽や良い方向性にも敏感になり、そして自らもその芽を伸ばし、育む一員になって欲しいと思う。