菅さんにはもうちょっと長くがんばって欲しいが

首相在任266日 鳩山氏に並ぶ
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011022800004


ざっとこのニュースについてのネット上の意見などを見たら、ほとんどは菅さんに対する罵倒や批判。

というわけで、一人ぐらい、菅さんを応援する人間もいた方がいいだろう。


菅さんが首相になってから、今までの業績としては、


諫早開門の決断。
硫黄島遺骨収集。
・社会的孤立の問題に取り組む社会的包摂のための特命チームの立ち上げ。
ベトナムでの大型インフラの受注。
・インドとのEPA


が挙げられると思う。


小泉さんも、最初の頃の業績というのはそんなに多かったわけではなく、ハンセン氏病訴訟の控訴断念と、靖国参拝が耳目を集めるぐらいだったのではないか。


菅さんの諫早開門の決断と硫黄島の遺骨収集は、小泉さんのそれと質的には変わらないと思うが、いかんせん菅さんの発信の仕方が地味で小泉さんほど上手でないことと、メディアがあんまり取り上げないために必ずしも支持率が上がらなかった。


また、菅さんは、拙速に消費税を提起して参院選で負け(とはいえ、得票数自体は選挙区も比例も民主党は一番多く獲得していた)、その後、小沢さんとの代表選、尖閣北方領土、小沢さんの政倫審出席や党員資格停止処分問題など、誰がやってもかなり困難な状況に常に置かれていたと言える。


内憂外患、よほどの政治的力量の持ち主でも、誰がやってもかなり難しい局面に常に立たされてきたと言えよう。


しかも、鳩山さんが無責任に放り投げたあとの、もともとかなり困難な状況の中でである。


その中で、それなりに地道に困難な状況の中で上記の業績を達成し、今後の日本にとって大きな課題を提起してきたことは、それなりに評価しても良いと思う。


消費税は、歳入と歳出のギャップを考えれば、いずれ必ず提起されなければならない問題である。
菅さんは、そのことをあえて掲げたのは、民主党が単なるポピュリズムではなく、責任政党であることを示すことだったと思う。
また、消費税の逆進性の問題に注意を払い、インボイス制度の導入や軽減税率を提起し、低所得者への配慮を示したことや、高額所得者への課税強化を進めたことは、小泉・竹中的路線とは一線を画する格差是正への取り組みだったと思う。


湯浅誠さんを起用し、社会的孤立に取り組む特命チームを立ち上げたことも、無縁社会化が進む日本の危機的な状況に対し、大きな取り組みの一歩だったと思う。


「平成の開国」TPPも、賛否両論あるが、日本の今後のあり方について、多くの刺激と問題意識を世論に喚起した、大きな問題提起だったと思う。


おそらく、菅政権は、あと一、二か月ももたないかもしれない。


私は、もうちょっと長く続けて欲しいと思う。


こうも短期間に首相が変わってばかりでは、とても持続的な政策への取り組みができるはずがない。


もうちょっとこの先が見たかったが、もはやどうにもならないのかもしれない。


ただ、もし、この困難な状況で、さらに難局を乗り越えながら続けることができたら、菅さんの政治的根性というのは、相当筋金入りと言えるのではないかと思う。
それを見てみたい気もする。


おそらく、この国では、菅・岡田・与謝野さんらを応援する人間は、ものすごい少数派なのだろう。
彼らは右からも左からも叩かれまくり、時にはほとんどいわれない悪罵や誤解も随分多いように思う。
ただ、その中で、あえて責任ある政治を目指すことこそ、政治家や責任政党の本来の道と思うし、そうした政治家にネガティブな悪罵ばかりでなく、きちんとそのメッセージに耳を傾け、是々非々、良い部分には支持や声援を送るのが、責任ある有権者というものではないかと思う。

心ある国民が、ポピュリズムデマゴーグよりも、真面目で責任ある地道な政治に一定の支持や声援を惜しまないならば、あるいはあともう少しこの政権の命脈も伸びるのではないかと思うが、それは現実の暗さをあまりにも無視した、単なる希望に過ぎないのだろうか。