菅さんの施政方針演説を聴いて

通常国会菅首相、税・TPP協議呼びかけ 施政方針演説
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110124-00000033-mai-pol


施政方針演説 全文
http://www.kantei.go.jp/jp/kan/statement/201101/24siseihousin.html

動画
http://www.youtube.com/watch?v=v7meAhj5Neo



BSの中継で、菅さんの施政方針演説を聴いた。

首相に就任直後の演説より、だいぶ良くなってきたのではないかと思った。

具体的に、政策について、力強く述べられていたと思う。

特に印象的だったのは、亡くなった山本孝史さんのことについて触れていたところ。
山本さんは本当に立派な方だったと思う。
がんで亡くなるまで、命を燃やすように医療制度改革に取り組んでおられた。
治験の遅れの解消や混合診療についての改革など、医療制度改革について、どうか山本議員の志を継いで、首相も与野党も努力して欲しいものだ。

また、菅さんが、社会的孤立の問題に真っ向から取り組む姿勢を示し、「社会的包摂戦略」を進めることをはっきり述べたことは、私はとても意義深いことではないかと思う。
つい先日発足した湯浅誠さんらを中心にした、「一人ひとりを包摂する社会」特命チームは、今のところあんまりマスコミが取り上げていないようだけれど、日本が現在抱える深刻な無縁社会や無縁死や自殺などの問題の解決・改善のために、とても大事な試みと思う。
どうかがんばって欲しいものである。

「平成の開国」「最小不幸社会の実現」「不条理をただす政治」という三つの理念も、基本的に我が国にとって今必要な課題であり、正しい方針と思う。

こうしたはっきりしたビジョンが示され、指針が首相によって示されたのだから、菅さんも与野党のすべての政治家も、私心を捨てて、国家のために精一杯、それぞれの立場から努力して、なんとか日本を良い方向に持って行って欲しいものだ。

また、日本が良くなるためには、国民も、ただ不平不満を一知半解で言うのでなく、首相や政治家の言葉に耳を傾け、そのうえで是々非々、さまざまな情報や論拠に基づいて、自分自身の意見をしっかり持ち、せっかくの言論の自由を生かして活発に意見を述べあって切磋琢磨することが大事と思う。

菅さんは、「熟議の国会」を呼びかけた。
与野党の議員は、これに応じて、質の低いヤジや足のひっぱりあいではなく、正々堂々と政策をめぐる熟議を深めて欲しいと思う。

さらに言えば、我々一般国民も、それぞれに政策や我が国の現状について理解を深め、多事争論、万機公論の質の高い熟議デモクラシーを心がけてはどうかと思う。
場合によっては、せっかくネット上で窓口もあるのだから、幕末の志士が幕府の老中の阿部正弘に活発な建白書を提出したように、自らの意見を首相官邸などに投書し意見具申するのもいいのではないかと思う。

国民の声・受付窓口
http://www.cao.go.jp/sasshin/kokumin_koe/uketsuke.html

わが国が抱える財政の状況や、経済や社会の状況は、幕末と同じように、本当はかなり危機的な状況だと思う。
しかし、産業構造の転換や社会的相互扶助の促進や個別の問題へのきちんとした真摯で迅速な取り組みをしていけば、きっと日本は立ち直る底力があると思う。

どうか単なるネガティブな批評や足の引っ張り合いではなく、質の高い政治と世論が、これから進むことを願うばかりである。