BS1 1987年 ソウルの熱い夏 〜報道カメラマンが見た民主化運動の真実〜

もう三年ほど前だけれど、BS1で「1987年 ソウルの熱い夏 〜報道カメラマンが見た民主化運動の真実〜」という番組があっていた。
http://www.nhk.or.jp/wdoc/backnumber/detail/071210.html

(以下は、その番組を見た時の感想)


かなり面白かった。

1987年っていうと、私が子どもの頃の話で、そんなに昔には感じないのだけれど、その頃私のぜんぜん知らないところで、お隣の国はずいぶんすごいドラマチックなことがあっていたんだなあと驚いた。

発端は、警察の拷問で、大学生が水責めによる窒息死をしたことだったらしい。
っていうか、それっていつの話?!と思う。
1987年っていうと、そんなに昔とは思えないんだけれど、つい最近まで韓国ではそんなことがあったのか。。
軍部の支配というのは、そんなに遠くない、最近までのことだったんだなあ。

その抗議のデモで、また催涙弾の直撃を頭部に受けた学生が一人死亡したらしい。

そうした出来事があったため、デモは広範の支持層を含む大規模なものになり、学生だけなく、中産階級のサラリーマン等も積極的に参加するようになり、結局、政府が折れて大統領の直接選挙等の憲法改正がなされた、とのこと。

当時、ソウルは、何万発もの催涙弾が飛び交って、半ば戦場だったそうだ。
防毒マスクをつけた警官がうろうろし、ホテルの従業員も防毒マスクをして仕事していたらしい。

韓国全土で、二千回以上のデモがあちこちであったそうだ。

そういえば、遠い記憶で、小さい頃、なんとなく、韓国で学生運動などが盛んに行われていた報道を見たような気がするけれど、当時はほとんど知らなかった。
この番組を見て、あらためて、すごかったんだなーと感心した。

日本は、たぶん、六十年安保の時などはかなり大規模なデモとかあったのかもしれないけれど、私がもの心ついてからは、良くも悪くも平穏な安定した社会が出来上がっていた。

もちろん、平穏無事な方が望ましいのだけれど、自分たちの手で自由や民主化を勝ち取ったことがあるかどうかは、けっこう大事な気もする。

当時、六月民主革命の取材に駆け回ったカメラマンの人たちの今がちょっと番組に紹介されていて、
当時を振り返っての感想のインタビューがあったけれど、

韓国の民主化に貢献できたことを誇らしく思っている、
等と答えている姿を見て、
自分たちの手で民主化を勝ち取った人たちの誇りというものは、大きいものなんだろうなあと思った。

GHQの手によって、わりと一挙に民主化が与えられて、そのあとの六十年安保なども、運動側の敗北に終わったことを考えてみると、日本は、あんまり自分たちの手で民主化を勝ち取ったという体験や誇りに、ひょっとしたら、遅れて民主化した韓国よりも、乏しいのかもしれない。
早さ遅さより、内実が大事だとしたら、民主主義というのも、なかなか難しい問題だなあと思う。