立憲民主と国民民主の合流の報道を聞いて

立憲民主党と国民民主党の合流がおおむね決まったとのこと。
水面下で調整や交渉に当たった人々の努力は、たぶん外野にはわからないものがあったと思うし、一強多弱で各個撃破されるという状況を脱するためには貴重な一歩だったとは思う。

 

ただ、関係者の方々に今後勘違いしないで欲しいことは、150ぐらいの議席を国会に占めるようになったとして、それだけでは政権交代は少しも近くはならないということである。

 

以前、立憲民主党のある現職の国会議員が、政権交代以前の民主党が130ほどで共同会派でそれぐらいになったので政権交代が見えてきた、と得々と語っていたのを見て、暗澹たる思いをしたことがあった。
2009年の民主党への政権交代は、未知数だったこととリーマンショックの影響が大きかった。
しかも、それが短命政権に終わったことでわかるように、かなりトリッキーな、もともと準備も不十分な政権交代だった。

 

地方議員の数を見ればわかるが、都道府県議は自民党が圧倒的に多く、市区町村会議員は公明・共産・自民が多い。
つまり、民主党系の議員数は、トリッキーに国会議員だけ増やしても、地方の足腰が非常に弱い。
市民社会における浸透度が他政党に比べて非常に弱いということである。

 

自民・公明・共産は、長年かけて培ってきた有権者との付き合いや関係があるのに対し、民主党系はその点がなんとも弱い。
新綱領はまとまったそうなので、きちんとした理念や政策に基づき、地道に足腰を鍛え、市民社会において幅広く根強い支持を得ることができるように、つまり「根」を獲得することができるように、今後は一層努力して欲しい。

 

その点について、ここ最近の様子を見ていても、暗澹たる思いがする。
もちろん、そのような努力している立派な地方議員やスタッフの人々が多いことも多少は知っているのだけれど、それを打ち消すように、須藤元気氏のわけのわからない言動の上の離党や、高井たかし氏のキャバクラ離党事件など、イメージダウンの出来事が最近にも相次いできた。
SNSでも相変わらず、背後から自陣営を攻撃するような発言をする、思慮分別を欠いた議員や候補たちの発言を散見する。
民主党系のイメージを損なっているのは、もはや遠い昔の民主党政権時代の失敗ではなく、あくまでつい最近の振る舞いではないか。

 

分裂から合流というのは、それ自体は力を増して望ましいのかもしれないものの、さらにまた内輪もめのリスクが高まったとも思われる。
今後はくだらぬ分裂(そもそも今回合流した人々の2012年や2017年の分裂は全くの無駄と遠回りだったのではないか)が二度と繰り返さぬよう、理念や政策の共有と、地道な支持の獲得をめざして、安易なトリッキーな政権交代をめざすのではなく、長いスパンで物事を考えて努めて欲しいと思う。