先日の天皇陛下のメッセージについて 若干の考察

先日の天皇陛下のメッセージを見てて、以下のことが気になった。


まず、二年後の平成三十年の節目の強調。


次に、「個人」としての思い、という個人の強調。


さらに、「象徴天皇」の継続の強調である。


これは、少々深読みすると、かなり重大なことのような気もする。


まず、平成三十年、つまり二年後。
これはおそらく改憲国民投票が行われると予測される年である。
衆参で三分の二を超えた議席を持つ安倍自民党政権は、二年後に焦点を合わせて憲法改正を進めようとする矢先だったはずである。


次に、「個人」。
自民党改憲草案は、現憲法十三条の「個人として尊重される」を、「人として尊重される」と変えようとしている。
その背景には、「個人」の尊重を排除し、国家や公の秩序を重視しようとする姿勢がある。
メッセージで「個人」をあえて強調したのは、改憲で消し去られようとしている個人の尊重をあえてぶつけてきたとも見える。


三つ目は、自民党改憲草案は、天皇を元首にしようとしている。
今回のメッセージは、天皇元首制への拒否と、象徴天皇制の擁護、さらには象徴天皇制を含む現憲法擁護を述べたと見えなくもない。


もっとも、これらはあくまで推測であるし、深読みし過ぎかもしれない。


ただ、生前退位とそのための皇室典範改正が提起されたことで、本来なら迅速に二年間で憲法改正を進めたかった安倍自民党にとっては、大きく時間やエネルギーを割かれる事態が発生したのは事実だろう。
本来の予定の改憲のためのスケジュールは、かなり難しくなったのかもしれない。


そこまで考えて今回の発言があったのかどうかは、本当のところはわからない。
あんまりそうした推測や忖度は、やめた方が良いのかもしれない。


しかし、上記三つのこと、およびスケジュール的なことは、非常に気になることではある。


ただ、あんまりスケジュール的には変わらずに、二年後に改憲のための国民投票は行われるのかもしれない。
そうなった場合、もはや止められるのは、誰か別のところにいる存在ではなく、主権者である国民だけということにはなるのだろう。