安倍首相の靖国参拝は対米関係をますます損なう危険あり

■米政権「失望している」 首相靖国参拝で異例の批判声明
(朝日新聞デジタル - 12月26日 15:12)

http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312260172.html


今回の安倍首相の靖国参拝は全然国益にかなっていない。


米大使館は、安倍首相の靖国参拝について、
「米国政府は失望している。(略)米国は、首相の過去への反省と日本の平和への決意を再確認する表現に注目する。」
と声明を出している。
http://japanese.japan.usembassy.gov/j/p/tpj-20131226-01.html#.Urw1SmYCP30


<安倍首相靖国参拝>対米関係に悪影響(毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20131226-00000047-mai-pol
「政府関係者も「唯一の頼みの綱の米国にそっぽを向かれてしまう」と危機感を募らせる。」 


ちなみに、先日、米国の対日世論が急激に冷え込んだ世論調査結果が出ていた。


米世論「日米安保を維持」急減 「重要パートナー」中国に抜かれる 外務省調査 ‎–
http://www.asahi.com/articles/DA2S10889401.html


安倍自民党政権になってから、民主党政権時代に比べて、22%も日米安保を維持した方が良いという割合がすでに低下している。
アメリカの対日世論は急速に冷え込んでいる。


日米関係の再構築どころか真逆のことをしているのが安倍さんであり、今回の靖国参拝でさらにそうなる可能性が高い。


オバマ政権は今年の四月にも安倍さんの靖国参拝への懸念を伝えていた。
十一月にも再度懸念を伝えていた。


安倍首相靖国参拝 アメリカ側は事前に「日米関係害する」と反対 http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00260356.html
アメリカ側から、「オバマ大統領が理解を示すことはない」、「日本の評判を落とし、日本のアジアにおける影響力低下を招く」などと、厳しく反対」


それを無視して靖国参拝をした以上、オバマ政権の安倍さんに対する見方はさらに厳しくなると思われる。
安倍さん、および安倍さんを支持している人々は、中国・韓国への反発のみが念頭にありそうだが、アメリカとの関係を損なうリスクにどこまで自覚があるのか。
対米関係を損ねてどうするのだろう。


今回の異例の米大使館の「失望」コメントは、要するに、オバマさんもキャロラインさんも安倍さんに対し「失望」しているということだ。


ちなみに、アメリカの意向は大体こんな感じと思われる。


戦略国際問題研究所・グレイザーさん
「日本が中国から見て挑発的なことをしないと考えられれば、鎮静化すると思います。」
アメリカは日中間が良好な関係であることに深い関心」
http://diamond.jp/articles/-/25011


つまり、アメリカは日中間があまり摩擦を起こさないことを願っている。


ちなみに、2013年の自民党参院選マニフェストには、以下の文言がある。
「自由で豊かで安定したアジアを実現するために(略)中国・韓国との関係の発展(略)近隣諸国との友好協力関係の増進に努めます。」
http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/sen_san23/2013sanin2013-07-04.pdf


安倍首相の今回の靖国参拝は、対米関係も、対中国・対韓国の関係も悪化させ、マニフェストの実現も難しくしていると思う。


ちなみに、参考になるサイトがある。


世界は靖国をどう見ているか
http://www.geocities.jp/social792/yasukuni/sekai.html
七、八年ぐらい前の欧米主要紙等々のコメントを集めたページだが、欧米諸国から見たら、首相の靖国参拝はこう映っているのだろう。


さらに言えば、先日の麻生副総理のナチスの手口に学ぶ発言も世界から大きく非難た。
そうしたイメージと相まって、靖国参拝は海外に映っている。


昨年の記事ですが、安倍首相は、「みっともない憲法、はっきり言って」と、現憲法に対するコメントも発している。
http://www.asahi.com/senkyo/sousenkyo46/news/TKY201212140595.html?fb_action_ids=527289444045497
自分の国の憲法に向かって、「みっともない」と言うことは、世界的にも稀である。
これらのイメージが相まって、欧米でも近隣諸国でも相当な危機感や失望が持たれていることに我々はもっとも敏感になってしかるべきと思う。
(ちなみに、議会調査局は今年の五月、安倍さんのことを「強固なナショナリスト」と警戒感を示し、「歴史修正主義にくみし」近隣諸国と摩擦を起こしていると指摘。)


戦前の日本も、幣原外交を自虐外交だとこきおろし、威勢の良いことばかり言う人々が台頭し、破滅した。
その教訓を忘れてはなるまい。


(追記)

台湾の安倍首相靖国参拝に対する声明。

「日本政府や政治家は史実を直視し、歴史の教訓を学ぶべきだ。近隣国の国民感情を傷つけるような振る舞いをすべきではない」
http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312260598.html


ロシア外務省、安倍首相の靖国参拝について。
「遺憾の念を呼び起こさざるを得ない」
「第2次世界大戦の結果を巡り、世界で受け入れられている評価から日本社会を離れさせようとする試みが強まっている」
http://www.asahi.com/articles/ASF0TKY201312270049.html


オーストラリアの有力紙、安倍首相の靖国参拝は「日本のオウンゴール」 と。
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp1-20131228-1237027.html