渡辺和子 「置かれた場所で咲きなさい」

置かれた場所で咲きなさい

置かれた場所で咲きなさい

とても素晴らしい本だった。

著者はシスターで、二二六事件の時に殺された陸軍の教育総監だった渡辺錠太郎で、幼い時に目の前で父が青年将校たちに殺害されたそうである。

この本によれば、渡辺錠太郎は、第一次大戦後欧州に駐在した体験から、「勝っても負けても戦争は国を疲弊させるだけ、したがって、軍隊は強くてもいいが、戦争だけはしてはいけない」と言っていたという。
二二六で殺されたのがかえすがえすも惜しかった。

その父との思い出の話も、とても胸を打たれるエピソードが多々あり、ほろりとさせられた。

また、さまざまな人生についてのアドヴァイスもどれもとても心に残った。

置かれた場所で咲きなさい。
それが神があなたをここにお植えになったのは間違いではなかったと証明することである。

神を信頼し、自分もすべきことをしつつ、結果については全てをみ旨として謙虚に受け入れる。

出会いを育てる。

苦しいからもうちょっと生きてみる。
大変だから、もうちょっとがんばってみる。

心にあいた人生の穴から、見えるものがある。
はじめてそこから見えるものがある。

時間の使い方はそのままいのちの使い方になる。

神は無関心であった者にこそ、愛にあふれた関心を寄せている。

悩みを抱えている自分もまたいとおしく思うこと。

神は決してあなたの力に余る試練を与えない。

迷うことができるのも一つの恵み。自由がそこにあるということ。

などなど、とても心に響いた。

また、文中よく引用されている八木重吉の詩や坂村真民さんの詩にあらためて感銘を受けて、あらためて詩集を読み直したくなった。

「祈りを唱える人ではなく、祈りの人になりなさい。」というマザーテレサの言葉も感銘深かった。

多くの人におすすめしたい人生の本だった。