絵本 「グレゴール・メンデル」

グレゴール・メンデル―エンドウを育てた修道士

グレゴール・メンデル―エンドウを育てた修道士


素晴らしい絵本だった。

メンデルは、エンドウ豆を観察して遺伝の法則を発見した人物として有名で、私も小さい頃、偉人のエピソードを集めた本でかすかに読んだ記憶はあったが、あんまり詳しくは知らなかった。

この絵本で、小さい頃は本当に貧しく、始終空腹の中で苦学したとはじめて知った。

修道士となって、それからこの重大な科学上の発見をコツコツと実験を重ねた末に達成し、論文に発表したが、生前はほとんど評価されず、死後三十五年も経ってから、やっと多くの人に認められるようになったという。

ダーウィンがもし同時代のメンデルを知っていれば、もっと進化論は発達しえたかもしれないし、同時代の農業や科学にも大きな成果があったかもしれない。

なんとも惜しいことだが、人に知られずとも、真心を尽くし、真理の探究に努め、類まれな発見をしながら、ほとんど後世に自分を伝える資料すら残さなかったところが、メンデルの奥ゆかしさや謙虚さなのかもしれない。

多くの子ども、そして大人に読んで欲しい良い絵本だった。