- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2011/10/29
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たぶん、あまり一般受けはしない映画だと思うけれど、深い感動を覚える映画だった。
1996年に実際に起こった、アルジェリアでのフランス人修道士たちに対するイスラムテロリストの誘拐殺害の事件を描いてある。
ただ、この映画のテーマは、事件そのものというよりも、その事件に至るまでの修道士たちの日々の生活を丹念に描くことにより、「キリスト」を描いているのだと思う。
修道士たちは、長年その土地に住み、地元のアルジェリア人の村人たちとも深い絆や相互理解を育んでいる。
修道院内に診療所があり、村人は随時そこに治療を受けに来ている。
修道士たちも、コーランもきちんと読み、よく理解している。
しかし、90年代になってイスラム過激派の勢力が増し、テロの脅威が近づいてくる。
アルジェリア政府も、フランス本国も、修道士たちに帰国や避難を命じる。
修道士たちの内部でも、はじめのうちは死への恐怖や避難を望む声もある。
しかし、あえて避難せず、土地の人々と苦楽や生死をともにし、神のつかわしたところに居続けようとすることになっていく。
いくつか、とても印象深いセリフやシーンがあった。
ひとつは、自分たちは無抵抗を貫くことにしたが、死や暴力が迫ってくる中で、日々のつとめを日々に果たしていくことが、救いになった、という意味のセリフを述べる箇所である。
もうひとつは、死や貧困や挫折を通してのみ、神に近づくことができる、というセリフである。
みっつめは、最後、修道士が、イスラムの人々を兄弟と呼び、心から愛している手紙を書いているところである。
よっつめは、受肉の神秘とは、日々にキリストを自分の中に受け入れ、そのとおりに生まれ、生きていくことだということが語られるシーンである。
キリスト教の精神の真髄を、教わるような映画だった。
あまり一般受けはしないと思うけれど、心ある人にはおすすめしたい名作映画だった。