ニューズナー 「ユダヤ教 イスラエルと永遠の物語」

ユダヤ教―イスラエルと永遠の物語

ユダヤ教―イスラエルと永遠の物語



面白かった。


ユダヤ教の実践とは、古代の物語を、自分個人として受けとめること。
ユダヤの物語とは、過去を現在にもたらし、現在に過去のパターンを課すこと。


つまり、エジプトで奴隷だった境遇から、神によって救い出され、出エジプトを果たしたという、神の解放に、永遠に感謝すること。


という話に、なるほどーっと思った。
それゆえ、トーラーとさまざまな行事をとても大切にするのだろう。


つまり、トーラーとその物語を継承することを選び、神の支配を受け入れることが、ユダヤ教徒つまりユダヤ人ということなのだろう。

他宗教の人でも、一定の手続きを踏めばユダヤ教に改宗できる。

ゆえに、イスラエルの物語に自分を同定し、神への義務とイスラエル共同体への責任を引き受ける人が、ユダヤ人ということになるそうである。
ユダヤ教に改宗した人は、皆、アブラハムとサラの子になると考えられるそうである。


トーラーの物語は、過去だけでなく、永続する現在の時制において歴史に関与するものである。
そのように、生き生きと、出エジプト等の物語を今受けとめることが、ユダヤ教の核心なのだろう。


朝夕の祈りの言葉もいろいろと収録されていて、興味深かった。
申命記詩編とともに、その祈祷書の言葉を日々にユダヤ教は読誦するそうである。


トーラーの学習において、イスラエル人は神の中に入る、という言葉も印象深かった。


トーラーは神の恵み深い正義を明らかにし、その学習と実践は大きな功徳(ズフート)をもたらすと考えるそうである。


また、悔い改め(テシュバー)は、神との和解であり、人間の変容であり、贖いの行為が要求されるという話も興味深かった。


神は無限(エイン・ソーフー)。
トーラーの宇宙的側面を解説したのがゾハール。


などなどの話も興味深かった。


ユダヤ教は、あらためて興味深い宗教であり、そして何より物語なのだと、あらためて思った。