- 作者: J.ニューズナー,山森みか
- 出版社/メーカー: 教文館
- 発売日: 2005/04
- メディア: 単行本
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面白かった。
ユダヤ教の実践とは、古代の物語を、自分個人として受けとめること。
ユダヤの物語とは、過去を現在にもたらし、現在に過去のパターンを課すこと。
つまり、エジプトで奴隷だった境遇から、神によって救い出され、出エジプトを果たしたという、神の解放に、永遠に感謝すること。
という話に、なるほどーっと思った。
それゆえ、トーラーとさまざまな行事をとても大切にするのだろう。
つまり、トーラーとその物語を継承することを選び、神の支配を受け入れることが、ユダヤ教徒つまりユダヤ人ということなのだろう。
他宗教の人でも、一定の手続きを踏めばユダヤ教に改宗できる。
ゆえに、イスラエルの物語に自分を同定し、神への義務とイスラエル共同体への責任を引き受ける人が、ユダヤ人ということになるそうである。
ユダヤ教に改宗した人は、皆、アブラハムとサラの子になると考えられるそうである。
トーラーの物語は、過去だけでなく、永続する現在の時制において歴史に関与するものである。
そのように、生き生きと、出エジプト等の物語を今受けとめることが、ユダヤ教の核心なのだろう。
朝夕の祈りの言葉もいろいろと収録されていて、興味深かった。
申命記や詩編とともに、その祈祷書の言葉を日々にユダヤ教は読誦するそうである。
トーラーの学習において、イスラエル人は神の中に入る、という言葉も印象深かった。
トーラーは神の恵み深い正義を明らかにし、その学習と実践は大きな功徳(ズフート)をもたらすと考えるそうである。
また、悔い改め(テシュバー)は、神との和解であり、人間の変容であり、贖いの行為が要求されるという話も興味深かった。
神は無限(エイン・ソーフー)。
トーラーの宇宙的側面を解説したのがゾハール。
などなどの話も興味深かった。
ユダヤ教は、あらためて興味深い宗教であり、そして何より物語なのだと、あらためて思った。