絵本 「ヴァレンカのちいさな家」

ヴァレンカのちいさな家

ヴァレンカのちいさな家


とても良い絵本だった。


ヴァレンカは、ロシアの田舎に住む普通の素朴な信仰深い農婦。


ある時、戦争が起こり、多くの人は避難して去っていったが、自分がいなくなったら誰が畑の作物や逃げてくる人の面倒を見るのだろうと思い、そのまま家にとどまる。


ヴァレンカは女性なので大丈夫だが、男性はつかまると兵隊にされるというので、何人かの人が逃げてきた。
また、戦争で親とはぐれた女の子もやってきた。


それらの人を、みんな家に迎え入れて、一緒に、神様どうか敵の軍隊がやって来ても見つからないように家の周りに壁をつくってください、と祈る。


と、大雪が降り、ヴァレンカの小さな家をすっぽりと雪が包んだ。


そこに敵の軍隊が通っていったが、家には気付かずに通り過ぎて行った。


やがて、敵の軍隊はいなくなり、春がやってきた。


という話。


はっきりは書かれていないけれど、この戦争というのは、ナポレオンがロシアに攻め込んだ1812年の戦争だろうか。
戦争などというくだらないことからはっきりと距離をとり、目の前の人に親切にするという人間として当たり前の、しかし非常時には最も難しいことを行い続けたヴァレンカの心は、本当にとても大切なものだと思う。
この絵本は、ヨーロッパではベストセラーの絵本だそうである。
多くの人に読んで欲しい。