- 作者: 大門高子,松永禎郎
- 出版社/メーカー: 新日本出版社
- 発売日: 1999/07/01
- メディア: 単行本
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小さい頃、近所で遊んだ場所に、むらさき花だいこんの花があった。
しかし、その背後に、こんな物語があるとは知らなかった。
この絵本は実話を元にしているそうである。
ある、中国に出征した兵士は、戦場で多くの恐ろしい悲しい出来事も見てきた。
ある日、流れ弾にあたって入院していた時に、故郷の山によく似た山の近くに松葉づえをつきながら散歩に行くと、中国人の小さな女の子が、小さなうすむらさき色の花をくれた。
それは日本では見たことがなかった。
見渡すと、一面にその花があった。
「どうして戦争なんかやっているんだろう」
と思うと、涙が出てきた。
その兵隊は、戦争が終わって日本に帰る時に、その花の種を持って帰り、庭に植えた。
毎年、美しい花を咲かせてくれた。
その種を持って、日本中に蒔いていくことにした。
来る年も、来る年も、その人は、黙って季節が来ると、花のたねを蒔き続けた。
長い年月が過ぎてから、自分の娘から、どうしてお父さんは花の種を蒔いてきたの?と尋ねられ、はじめてその理由と思いを語ったという。
それから、徐々に日本中にこの花は広まり、その理由の物語も伝わっていった。
ある、この花の由来を知らずに育てていた老夫婦は、この花のことを知っている人が話してあげたあと、戦争に行った息子が花になって帰ってきたんですね、と涙を目にいっぱいためながら言ったという。
多くの人に読んで欲しい、忘れてはならない、すばらしい絵本だった。