キリストの肌の色について

東方教会ではイコンがよく描かれるようで、たしかに西欧のとはだいぶ趣が違うようだとは前から思っていたけれど、この頃、イコンというのは確かに随分と深いもんだなぁと思う。


特に、この二枚。


三本手の生神母。(アトス)



ウラジミールの生神母。(モスクワ)




ちょっと、これは普通の絵ではない。
それはもちろん当たり前なのだけれど、これほど聖なる絵は、たしかにめったにないものだろう。


両方とも、気になるのは、明らかに肌の色が白ではなく、褐色っぽいことである。
長い年月のうちにそういう色になったということも考えられるが、どうもおそらくもともと褐色に着色してあったのではなかろうか。


よく考えれば、ユダヤ人というのはもともとは周辺の人々と人種的には同じだったはずだから、今のパレスチナやアラブの人々のような肌の色だったはずである。
西欧の絵画では白人のように描かれて、そのようなイメージが定着しているけれど、実はマリアもイエスも白人ではない、黒人とまではいかないとしても、かなり浅黒い肌だったのではなかろうか。


と、こちらはたぶん偶然でこの黒い色なのだろうけれど、フィリピンのキアポ教会に十七世紀にメキシコから持ち込まれた「黒いナザレ」というキリスト像があるそうで、今もフィリピンでは非常に熱く崇敬されているそうで、数々の奇跡を起こしてきたそうである。



タガログ語なので意味はよくわからないが、良い歌だと思う。

なんだか、キリストの実像というのは、この御像に近かったような気もする。