絵本 「スミレのせんそう」

スミレのせんそう

スミレのせんそう


第二次大戦中のアメリカにおける日系人の強制収容についての絵本。


この絵本に使われている絵は、実際にその当時、収容所の中で、ヘンリー杉本さんという方が描いた絵が使用されている。


ずっと平和に暮らしてきた日本人・日系人たちが、日本とアメリカとの間に戦争が始まると、突然強制収容所に送られることになった。
この本によれば、その数は、十一万二千人(他の本だともっと多くの数字が書かれている場合がある)。


その生活は、大変厳しい、苦労とストレスにさらされるものだったようだ。


また、多くの日系人が、収容所の人々の待遇が少しでも良くなることを願い、自らアメリカの軍隊に志願し、戦場で多く人が戦死していった。


この絵本の主人公の女の子も、かわいがっていた犬を近所の白人の女の子に託し強制収容所に移動させられる。
やがて、その友達から、スミレ(主人公の子)がいなくなってから、犬は一度も食事をとらず、死んでしまったことが伝えられる。


スミレのお父さんは、志願して戦地に行く。


やっと戦争が終わったと思ったら、戦争が終わる数日前に、お父さんが戦死したという電報が届く。


日本とアメリカの、決してもう壊れない虹の橋になろう、とスミレが泣きながら思うところでこの絵本は終わる。


本当に、両国の戦争のために、どれほど多くの日系人の人々もいわれなき苦しみを受けたかたと思うと、日本とアメリカの友好や平和の橋が、二度と壊れぬように努めねばと思われてならなかった。


また、この絵本のあとがきに書かれていて、そのとおりと思ったことがある。
それは、日本人の多くは、日本に住んでいる限り、いつも多数者だったため、差別されることのつらさをあまり感じることがなかった。
しかし、日系人は、アメリカで絶えず差別され、嫌がらせを受け続けた。
差別されることのつらさを、日本人はアメリカに住む日系人の人々から学んで、自分の国の内部でも少数者に対して差別がないように国をつくっていかなければならない。
そのことは、本当にそのとおりと思った。


多くの人に読んで欲しい一冊だった。