- 作者: 丸木俊
- 出版社/メーカー: 小峰書店
- 発売日: 1980/06/01
- メディア: 単行本
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広島の原爆の様子を、実話を元に描いた絵本。
涙なしには読めない。
あまりにもむごすぎる。
主人公の女の子が、原爆投下から必死に海辺まで逃げてそこで眠り込んで、四日たって、やっと起き上がり、しくしく泣いていると、ふろしきからおにぎりを出してくれたおばあさんが、おにぎりを渡した直後にそのまま力尽きて息を引き取ったという話に、最後まで人のことを思いやることができたこのような優しい人々が、どうしてこのような受難をしなければならなかったのか、あまりにも悲しすぎる気がしてならなかった。
主人公の女の子は、原爆投下以来、その時の七歳だった時から成長が止まって、何年経っても小さいままだったし、もう何年も経ってから髪の毛の隙間からその時のガラスの破片が出てくることがあったのだと。
この絵本では、日本人の犠牲者だけでなく、朝鮮の人々も多く原爆で亡くなり、しかもその遺体はずっと放置されていたので、カラスが啄んでいたということが言及されいていて、なんとも哀れだった。
原爆では、捕虜だったアメリカ人も含め、中国人やロシア人やインドネシア人も無差別に亡くなっているということも触れられていた。
あまりにも悲惨な出来事で、ただただ絶句するしかないが、万分の一でも彼らの悲しみや無念の思いに触れて忘れないためにも、この絵本をぜひとも多くの人に読んで欲しいと思った。