絵本 「ヒロシマのおとうさん」


作者の方の自分自身の思い出を描いた絵本。

作者の高橋昭博さんは、当時は軍国少年で軍人になることに憧れていた。

しかし、八月六日、原爆の投下で地獄を見る。

高橋さん自身も体の三分の一に重傷のやけどを負い、同級生と必死で逃げる。
その同級生たちは、間もなく亡くなっていった。

高橋さんは家族の必死の救助と看護があったおかげで、奇跡的に一命をとりとめて、助かる。

しかし、その後もずっとその時のけがや原爆症に苦しめられてきた。

「原爆は、核兵器は、悪魔の兵器なのです。」

という高橋さんの言葉は、体験に裏打ちされた重い言葉だと思う。

同級生の五十名のうち、四十数名は原爆により死んだという。

その後、高橋さんは語り部となって子どもたちに被爆体験を語り継ぐことに取り組むようになったそうである。

「ひとりでは何もできないかもしれないけれど、まず、ひとりから出発しなければならない」

という高橋さんの言葉は、本当に大切な、貴重なメッセージだと思う意。

後世の人間も、一人一人、広島や長崎のメッセージに耳を傾け、記憶を継承しようとし、志を同じくしようとするところから始めるしかないし、それこそが、最も大切なことなのだと思う。