絵本 「シイの木はよみがえった」

シイの木はよみがえった

シイの木はよみがえった


昭和二十年の三月二十七日。


福岡の大刀洗町で起こった出来事。


ちょうど小学校の終業式があっていたところに、空襲警報が鳴り響いた。


子どもたちは先生に引率されながら必死で逃げ、頓田の森という森のシイの大木のもとに逃げ込む。


ところが、そこにB29から爆弾が落とされ、三十一名の子どもたちが亡くなった。


シイの木も、焼け、腹部は吹っ飛び、ボロボロになった。


この絵本では、子どもたちを守りきれなかったシイの木の、悲痛な思いと願いが、シイの木が語るという設定を通じて、物語られる。


しかし、シイの木はその時はまだ死なず、なんとよみがえった。


周囲は森として再生し、今は平和を祈念する公園となったそうである。


戦後五十年を間近にして、シイの木は枯れたが、枯れたあとはモニュメントとして地元の図書館の近くに置かれることになった。


また、その木に宿り木として育っていたモチの木は、新たな生命として育っていったそうである。


二度と子どもたちが空襲で死ぬことのないように、平和の願いを持ち、この物語を語り継いで欲しいものだと、私もこの絵本を読んでしみじみ思った。