絵本 「ほたる」

ほたる (新・創作絵本 28)

ほたる (新・創作絵本 28)

特攻隊についての絵本。


まだ十七歳ぐらいの若者たち。


彼らにとっての数少ない楽しみは、厳しい訓練の合間に食堂で食べるうどんだった。


その中の一人の青年が、食堂のおばさんに、おばちゃんのうどんは本当においしい、もう一度食べたい、という。


じゃあ、あとでまた食べに来てちょうだい、待ってるよ、と言うと、


うん、もし来れない時は、ほたるになって食べに来るよ、と青年は言った。


その日、特攻機は出撃していき、青年は帰ってこなかった。


しかし、季節外れのほたるが一匹、光りながら食堂にまぎれこんできた。


という物語。


実際にあった御話だそうだ。


私はこの絵本で読む前、もうだいぶ前に、二十歳の頃、富屋旅館という鹿児島の旅館に一人旅でとまった時に、この物語を聴いたことがあった。


その旅館の主が、鳥浜トメさんという、この物語に出てくる食堂のおばちゃんだった。


私はトメさんから直接聴いたわけではなく、他の方がビデオを持ってきてくれて、それを食事中に見てその物語を知ったのだけれど、長く忘れていた。


この絵本のおかげで、あらためて思い出し、そのような良い若者を死なせていった戦争のむごさをあらためて思わされた。


良い絵本だった。
多くの人に読んで欲しい。