- 作者: 大門高子,松永禎郎
- 出版社/メーカー: 新日本出版社
- 発売日: 2010/09/01
- メディア: 大型本
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とても胸打たれる絵本だった。
実話が元になっている絵本だそうである。
主人公のスンギさんは、少年の頃、親の仕事の関係で広島で育った。
同じクラスの武夫君とは親友で、どんぐりを二人で集めて遊んだ。
しかし、八月六日、原爆が広島に投下され、スンギさんは一命をとりとめるものの、武夫君は死んでしまう。
戦争が終った後、スンギさんは韓国に渡り、結婚し、厳しい暮らしの中で苦労しながらも幸せに暮らしていた。
しかし、原爆の後遺症が発症する。
再び日本に渡り、丸屋博先生の治療を受ける。
韓国にできた被爆者のための施設に入ることになるが、その時、広島の平和祈念公園にたくさん落ちていたどんぐりを拾って、その韓国のハプチョンにある「みんなの家」という施設の庭に植えた。
すると、芽が出て、大きな樹となっていった。
という物語。
恥ずかしながら、私はこの絵本を読むまでよく知らなかったのだけれど、広島の原爆投下の際に、韓国・朝鮮の人が五万人も被爆し、そのうち三万人が亡くなったという。
韓国人の方々で被爆した方々がいるということはもちろん知っていたけれど、広島の犠牲者数の全体の4〜5分の1にまでのぼったとは、恥ずかしながら知らなかった。
決して声高に何かを訴えるわけではなく、ただ静かに思い出が語られるこの絵本は、かえって深く胸を打たれた。
多くの人に読んで欲しい一冊と思う。