- 作者: 岩崎京子,毛利まさみち
- 出版社/メーカー: 新日本出版社
- 発売日: 2000/08/01
- メディア: 単行本
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本当にあった、実話である。
山本達夫さんは、広島の原爆の日、やや離れた場所から原爆投下を目撃し、すぐに市内入って地獄の情景を目の当たりにする。
自分の父親のように思っていた仲の良かった本屋の主人を探すが、見つからなかった。
数日後、やっと戦争が終わったあと、瓦礫の中を探し、本屋があった場所を見つける。
地下室があったことを思い出し、入り口を探して降りていくと、本はそのまま灰になっていた。
その時、小さな火が、まだ残っていたのか、ぱっと炎をあげていた。
山本さんは、兵隊になっていく時におばあちゃんがわたしれくて、ずっと使わずに持っていた懐炉をとりだして、その火を懐炉に移し、大切に故郷の福岡県星野村に持って帰った。
それから、何年も、理由を特に家族に言わなかったが、その火を絶やさないように自分の家でともし続けていた。
話さなかったのに、家族はちゃんとその思いをわかってくれていたそうである。
だんだんと、村の他の人々にも伝わり、その火は村できちんと大事にみんなでともし続け、管理するようになった。
私は星野村に行った時に、その原爆の火を公園のモニュメントの中に燃え続けている様子を見たことがある。
あの日の多くの人々の無念さや悲しみや苦しみ、そして二度とこのようなことがないようにという願いを、忘れず、ともし続け、受け継いでいきたい。
そうあらためて思う、絵本だった。
このあとがきに書いてあったが、この灯のことを歌にした「カンタータ この灯を永遠に」という歌があるそうである。
いつか聴いてみたい。