ロバータ・エドワーズ 「ミシェル・オバマ ママはファーストレディー」

ミシェル・オバマ ママはファーストレディー

ミシェル・オバマ ママはファーストレディー


オバマさんが黒人初のアメリカ大統領だったのと同じく、ミシェル夫人も黒人初のアメリカのファースト・レディー。
テレビで見ていて、感じの良い方だなぁとは思っていたけれど、あまりミシェル夫人については詳しいことを知らなかった。
この本を読んで、本当にすばらしい人だと思った。


また、その家族が本当にすばらしいと思った。
この本では、いかにミシェルさんが愛情のある家庭に生まれ育ったか、両親も兄も仲が良く、皆普通の庶民だけれど、本当にすばらしい人であることが良く伝わってきた。


ミシェルさんの父親のフレーザーさんは、市の水道局に勤務していたそうだが、「多発性硬化症」という病気に若い頃になり、徐々に手足が不自由になっていったそうだ。
しかし、常にユーモアを忘れず、家族を愛し、家族から愛されていたそうである。


ミシェルさんは努力してハーバードのロースクールを卒業し、シカゴで働く弁護士になった。
そこでたまたまオバマさんと出会い、やがて結婚したそうである。
高学歴の弁護士にもかかわらず、高い報酬を求めず貧しい人々のために尽くすオバマさんの姿を見て、ミシェルさんも法律事務所をやめて、市役所や病院で貧しい人々や困っている人々の役に立つ仕事をしたそうである。


この本で何よりも感心するのは、オバマさんもミシェルさんも、本当に家族を大切にし、子どもを大切にし、仕事と同時に家庭をよく両立している様子である。

上院議員の時はオバマさんは週末以外は単身赴任だったそうだが、子どものためにできる限りのことを常に努力してしていたそうである。


この本の末尾についている、2008年の民主党党大会でのミシェルさんの演説も、本当に感動させられた。


「今ある世の中」にあきらめて甘んじるのではなく、「これからあるべき世の中」について理想を持ち、そのために勇気をもって努力すること。
大切なことは、そのために自らの力を信じること。
あらためて、そのことの大切さをこの演説では教えられた気がする。


これほどの大統領とその夫人を持つことができて、アメリカは幸せな国だと思う。
逆に言えば、これほどの人を的確に選び出したアメリカの民主主義は偉大だと思う。
とても良い一冊だった。