雑感 アメリカについて

その昔、小泉さんが自分のことを「根っからの親米派」と言ったことがあった。
安倍さんはそうはっきり口に出しては言わないが、たぶん小泉さんと似たようなものなのだろう。


どうも私はそういう姿を見ると、「それでいいんだろうか?」という気がしてならない。


とはいえ、自分の身を振り返ってみたら、自分も案外と「根っからの親米派」なのかもしれない。
アメリカの歴史や文学はかなり好きな方だ。
オバマさんも好きである。


自分を棚に上げて、小泉さんや安倍さんに違和感を持つのは、あんまりフェアではないのかもしれない。


しかし、こういうことは言えるのではないかと思う。


日本と一口に言ってもいろんな側面が日本にあるように、アメリカにもいろんな側面がある。
アメリカには良い側面もあるが、どう考えても疑問な側面もある。
アメリカの中の最良の部分を愛することと、無批判に従うことは、また別のものなのではないかということである。


安倍さんの今回の訪米の姿を見ていて、やたらと民主党の三年間を貶す姿勢といい、アメリカとうまくやることを最大の誇りのように思っている様子といい、正直、李王朝が明や清に示した態度とはこういうものだったのではないかという気がした。
事大主義、つまり大きいものにつかえる、ということが、何よりも、その根っこにあるような気がする。
どうにも、そういう姿勢というのは、疑問で仕方がない。


そもそも、本当に親米派ならば、アメリカの根本にある精神をこそ多少は学んだ方がいいのではないだろうか。
アメリカの根っこにあるのは、大英帝国に対して敢然と独立戦争を挑んだ、独立自尊の精神のはずである。
事大主義の政治家を見ても、便利とは思うだろうけれど、あんまり重要なパートナーとは思わないのではなかろうか。


現実問題として、北朝鮮や中国の脅威を考えれば、日米同盟を堅持していくことは大切なことではあろう。
なので、別にアメリカとむやみに対立した方がいいとは思わないし、協調し仲良くやっていくことは別に良いのだけれど、他国に行ってまで、別に向こうが言い出してもいないのにこの三年間で同盟がゆらいだなどというのは、あまりにも見苦しいのでもう二度とやらないで欲しいと思う。
我々は属国ではないのだから、過剰に相手の顔色をうかがう必要はない。
ごく普通に、対等の国同士が自然に付き合えば良い話であろう。


私もたぶんアメリカは好きな方だと思うけれど、自分の国の首相が独立自尊より事大主義の気風であることは、なんともはや違和感が持たれて仕方ない。