長谷川櫂 「震災句集」

震災句集

震災句集


東日本大震災のあとに詠んだ俳句を集めた句集。


読みながら、はやあの頃のことを忘れて、また原発推進の政策に戻りつつある今の状況が、本当にこれでいいのかとあらためて思われた。


「焼け焦げの 原発並ぶ 彼岸かな」


「みちのくの 山河慟哭 初桜」


「みちのくの 大き嘆きの 桜かな」


「原子炉の 赤く爛れて 行く春ぞ」


原発の 蓋あきしまま 去年今年」


私たちは、ついこの前、そして今も、この現実を目の当たりにしたというのに。


一方、この句集は、嘆きばかりではなく、前を向いた句があるところもよかった。


「葦牙(あしかび)の ごとくふたたび 国興れ」


「滅びゆく 国にはあらず 初蕨」


本当に、そう思う。
そして、そのためにも、忘れてはならないのだと思う。


「日本の 三月にあり 原発忌」