朝鮮学校無償化適用除外 これでいいのだろうか?

「朝鮮高級学校、授業料無償化適用外に…文科省
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20130221-OYT8T00279.htm

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文部科学省は20日、日本の高校にあたる「朝鮮高級学校」を高校授業料の無償化適用外とする改正省令を施行するとともに、学校側に不指定処分を通知した。
 同省は、不指定処分の理由として、高校授業料無償化法の「適正な学校運営」に適合しないことを挙げている。文科省によると、不指定となったのは、10都道府県の10校で、生徒数1700〜1800人。無償化適用の場合、授業料分として年約2億数千万円の就学支援金が支給される。
 民主党政権では適用の審査を続けていたが、結論を先送りしていた。下村文部科学相は「(朝鮮学校は)朝鮮総連の影響下にある学校。日本の教育制度のもとで教育をすればすぐに適用になる」としている。
(2013年2月21日 読売新聞)
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安倍政権になってから、朝鮮学校への無償化適用除外が決定された。


これでいいのだろうか?


昨年の九月、野田政権は、国際人権規約A(社会権規約)の十三条二項のbcへの留保を撤回した。


「経済的,社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)第13条2(b)及び(c)の規定に係る留保の撤回(国連への通告)について(外務省HP)」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/tuukoku_120911.html


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第13条2
(b)種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は,すべての適当な方法により,特に,無償教育の漸進的な導入により,一般的に利用可能であり,かつ,すべての者に対して機会が与えられるものとすること。
(c)高等教育は,すべての適当な方法により,特に,無償教育の漸進的な導入により,能力に応じ,すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。
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この箇所は、長年の間、日本とマダガスカルのみが留保していた箇所で、やっと日本も世界の文明国の大勢に従ったわけだが、当然、この国際人権規約を批准した以上、日本はいまはこの条約に従わねばならない。
日本国憲法九十八条は、「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」と明確に規定してあり、批准した国際法規は実行しないと憲法違反となる。


ちなみに、国際人権規約A規約の第二条二項は、


「この規約の締約国は、この規約に規定する権利が人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、出生又は他の地位によるいかなる差別もなしに行使されることを保障することを約束する。」


と定めている。
したがって、この条文も、批准している以上日本は必ず実行しなければならない。


また、子どもの権利条約の第二条は、以下のように定めている。


「第2条
1、締約国は、その管轄の下にある児童に対し、児童又はその父母若しくは法定保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する。
2、締約国は、児童がその父母、法定保護者又は家族の構成員の地位、活動、表明した意見又は信念によるあらゆる形態の差別又は処罰から保護されることを確保するためのすべての適当な措置をとる。」


子どもの権利条約も日本は批准している。
子どもの権利条約は、一条に定めるとおり、十八歳未満の者を対象としている。


朝鮮学校を高校無償化の対象とすることには、日本の国民感情としては反発する人も多いのはよくわかる。


しかし、問題は、感情論ではなく、国際法憲法と法律によって公正かどうかである。