あの日、僕らの命はトイレットペーパーよりも軽かった-カウラ捕虜収容所からの大脱走- ノーカット完全版 [DVD]
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- 発売日: 2008/07/25
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だいぶ前に、テレビであっていた時に見た。
戦時中、オーストラリアのカウラ捕虜収容所で、日本兵の捕虜が大量に脱走をはかり、二百名以上が死んだという事件があり、その話をもとにつくったドラマらしい。
ぜんぜん、カウラ収容所のその事件のことを私は今まで知らなかったので、こんな出来事があったんだと驚きながら見た。
ドラマによれば、脱走の成功の見込みもなく、かつ脱走したあとどうするという計画もなく、「生きて虜囚の辱めを受けず」という、ただそれだけのために、いわば死ぬために、脱走を試みて、あたら二百名以上が亡くなったとのこと。
カウラ収容所での捕虜の待遇は、きちんとジュネーブ条約に沿ったものであり、食事もきちんと与えられ、強制労働もさせられず、いわば脱走しなければならない差し迫った理由は何もなかったらしい。
戦陣訓の精神が骨の髄まで叩き込まれていたためだったのだろう。
ドラマを見ていて、ジュネーブ条約についてきちんと兵士たちに教育せず、それどころか「生きて虜囚の辱を受けず」の、捕虜になるより死ねという教育をしていた、戦時中の日本の軍隊のあり方は、許しがたい愚かさだったと思う。
だいたい、捕虜が大量にいた方が、相手方に捕虜を養うための費用や兵站の負担をかける。
こちら側の捕虜との交換の材料になる。
どう考えても自国兵士に、捕虜になるより死を選べと命じるよりは、きちんと国際法に則って捕虜になったら捕虜になるようにした方が合理的な戦争遂行にかなっている。
しかも、もし生きて帰ってくれば、とても貴重な人材になるわけだし、そもそも無駄な死を命じる権利は、国家にはあるまい。
ジュネーブ条約をきちんと教育せず、戦陣訓のようなものを徹底して洗脳していた当時の日本の軍部っていうのは、本当に非合理で、どうしようもないものだったと、あらためて思えた。
カウラ収容所には、イタリア軍の捕虜も多数いたらしい。
イタリアでは、捕虜になると二階級特進だったそうで、日本の捕虜が肩身の狭い思いをして自虐的に苦しんでいたのに対し、悠々と捕虜生活を過ごしていたようだ。
戦時中のイタリア軍の弱さも、あれはあれで無様な気もするが、こと捕虜になった場合の身の処し方に関しては、日本よりはよほど合理的でまともだったと言えるのかもしれない。
あまりそうした事態を想定したくはないが、もし万が一将来日本が戦争状態に巻き込まれることになれば、ジュネーブ条約だけは官民に周知徹底し、間違っても戦陣訓の愚を繰り返さず、まともな捕虜の取り扱いを自他にするような国であって欲しいと思う。
しっかし、阿部サダヲが、戦陣訓を熱烈に鼓舞する帝国軍人を怪演していて、ドラマを見ていてこんなのがいたらたまらんなぁと思った。
しっかし、あの時代はああいうクレージーな軍人もいっぱいいたのだろうなあと思う。
本当、あの時代のことを考えれば、いまこうやって平和で自由に生きれるだけで、それだけでありがたいなあと思う。
その恵みに思い至ったら、クレージーな時代に逆行しないように、なるべく努力せんといかんのだろうなぁ。