■「強い日本」取り戻そう=経済再生に決意―安倍首相年頭所感
(時事通信社 - 01月01日 01:01)
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2013010100009
「強い日本」とは、具体的にはどういうことだろう。
強弱というのは相対的なものだ。
何に対して強いのかということも大事である。
逆境に徳のある態度を保つことができる克己心の強さ、という意味なら私は賛成だ。
ただし、単なる弱肉強食主義の追求ならば勘弁して欲しいものだと思う。
本当の強さとは何かということから論じて欲しいが、どうもスローガンが先行しているようだ。
経済の強さというのも、あくまで相対的なものだ。
何を指標とするかによる。
日本は現時点でかなりの強さを持つ。
麻生さんのように日本の底力の現時点での強さを強調するスタンスの方が、同じ自民党でも、「強い日本を取り戻します」というスタンスよりは私はしっくりくる。
具体的に何の指標について、どのような方法で、何を取り戻すというのだろうか。
さらに、もし本当に日本が「強い経済」を目指すならば、産業構造の転換が必須である。
製造業ではどうしても要素価格均等化が強く働く。
情報・環境・金融等の分野に産業構造を移行させるしか、今後の日本が中国などの後発国と棲み分けを実現し自らの強さを発揮する道はない。
それをせずに、単にばら撒きを行っても、決して強い経済にはならない。
メッキがはがれれば、またかつてのように財政赤字が増えるだけだろう。
安倍さんは産業構造の転換についてはどうするつもりなのだろうか。
今の所、正直よくわからない。
安倍さんは年頭所感で、「この三年あまりで失われてしまった政治への信頼を取り戻」すと述べていた。
しかし、政治への信頼の喪失は何もこの三年で始まった話ではなく、そもそも自民党政権が信頼を失ったので下野したのではなかったろうか。
しかも、原発事故は、そのほとんど主要な原因は自民党政権時代のことである。
鳩山さんの普天間返還に関しては確かに前代未聞のことだったし、自民党政権でああなったとはいろんな意味で思えないが、その他の点については、それほど民主党に失点があったわけでもなかろう。
北方領土や尖閣や竹島は自民党時代からの積み残しだし、財政赤字も自民党時代のツケである。
野田さんはその厳しい状況の中で、比較的よくがんばったのではなかったろうか。
安倍自民党は、とりあえず民主党の悪口だけ言っていれば良かった選挙期間は終わったことを自覚して欲しい。
政権を担うという重みに今後どう耐えていくのか。
野田さんほどの覚悟を示すことができるのか。
今後それが問われている。
安倍さんには良い方向にがんばって欲しいと思うが、これからどうなるのだろう。
「強い日本」を掲げるのであれば、その具体的な中身と方法を、単なるスローガンではなく、丁寧に国民に説き明かしていって欲しい。