金子大栄 「大いなる信心」

金子大栄講話集〈4〉大いなる信心 (1976年)

金子大栄講話集〈4〉大いなる信心 (1976年)



すばらしい本だった。

無限と有限の対応としての浄土教
そのことを、平明なことばでわかりやすく説いてあり、目からウロロコなことが多々。

浄土教は「我」のみではなく「我ら」の問題として、この人生の悩みや人生そのものを問題としたところに生じるもの、

という指摘は、なるほどーっと思った。

業感縁起の外に出ようとすること、つまり、この世から救われたいという要求がなければ、浄土教は聞こえてこないというのも、たしかにそのとおりと思った。

「浄土へ往くことは、浄土の徳を来たらしめること」

という言葉も、なるほどと思った。

天分たのむべからず、
小成に安んずべからず、
師と人とを畏れよ、

というのも、なるほどと思った。

大経における浄土は音楽で、観経における浄土はイメージだという話も、非常に面白かった。
聞と観の交わるところに、対応・値遇ということもあるのだろう。

多くの刺激を受ける、すばらしい本だった。