- 作者: 柳田邦男
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/10/30
- メディア: 文庫
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とても良い本だった。
さまざまな本や人について、またその時の出来事や思いについて、柳田さんが書いたエッセイ集だけれど、本当に胸打たれる宝のような言葉がいっぱい詰まった一冊だった。
・人生の答えは、ただ待つ人に与えられるものではなく、ひたすらつくろうとする人が生み出すものである。
・積極的に生きよう。生きている時間を充実したものにしよう。
・言葉はすごい。いのちと言葉。いのちと響きあう言葉。いのちを映す言葉。死が生み出す迫真のいのちの言葉。
・一人の人間の精神的いのちは死では終わらない。
・自分の死を創る時代。
・人生の歩みに何か創造的なものを加えよう。
・一番大切なのは生命の質であり、長さではない。三人称的な時間ではなく、一人称的な時間、つまり生きられた時間こそが大事。
・自分が自分の主治医になったつもりで生きる。今日一日の生きてる具体的な目標を自覚し、全力投球する。人のためになることをする。
・意味のある人生の長さ=生きられた時間の長さ×その密度
・個々人のが、内なる宗教心に気付き、自分の物語―内なる宗教を持つこと。
・これからの可能性がいっぱい残された自分の人生を放棄するのが一番の不運であること。
・死を創ること、自分のいのちを創ること。それぐらいの心構えや気構えが現代人には求められていること。
・ともかく死なないで今を生きのびる、という願いと意志をはっきり持つこと。
などなどの言葉は、本当に心に響いた。
また、
・これまで半世紀かけて壊してきた日本人の心を再生するには、これから半世紀かかる。
ということには、本当に大きく考えさせられた。
また、特に、
「人を愛するとは権力や財力や地位といった世間的な価値とは関係なく、人が上下なく同じ地平に立って他者と裸で向き合うことだ。であるなら、その身にはいのちあるこの世のすべての生き物と同じように平等に死が訪れる。しかし、その生き物(もちろん人間を含めて)の美しい魂は自然界に還り、野の風景にとけこんでいつまでも生き続けるのだ。」
(331頁)
という一節は、本当に心に響いた。
「読むことも書くことも生きること」という言葉も、座右の銘にしたいと思った。
すばらしい一冊だった。