プーシキン 『スペードの女王・ベールキン物語』読了

スペードの女王・ベールキン物語 (岩波文庫)

スペードの女王・ベールキン物語 (岩波文庫)


プーシキンの「スペードの女王」は、本当面白かった。
ひさびさに手に汗握る小説を読んだ気がする。


この主人公のゲルマンもまた、オネーギンと同じぐらい愚かだなぁと思う。
リザヴェータに真心を尽くしてれば、愛をこそ大事にしていれば、幸せになれたはずなのに。


とはいえ、破滅もひっくるめて、手に汗握らせるこの面白さは、めったにないすぐれた短編と思う。


また、この岩波文庫には、「ベールキン物語」も収録されていて、とても面白かった。
「ベールキン物語」は短編が五つ収録されているもので、特に「吹雪」と「百姓令嬢」は、なんだかとてもいいなぁと思わされる作品だった。


プーシキンの描く人々は、その愚かさや滑稽さもひっくるめて、なんときらきらと輝いていることだろう。