現代語私訳 善導大師『阿弥陀如来を観想する教えの入口』(観念法門) 第二十六節
また、観無量寿経の中の蓮の花の台(うてな)の観想(華座観)の中には、以下のような意味のことが説かれています。
「釈尊は、アーナンダ尊者と韋提希夫人におっしゃいました。
「阿弥陀如来はまさにあなたがたのために苦しみや悩みを取り除くみ教えを説かれようとされています。あなたがたはこのみ教えを聞いて、広く多くの人々のために理解し説き明かしなさい。」と。
この言葉を釈尊が説かれた時、阿弥陀如来と観音菩薩と勢至菩薩が、その声に応じて現れて空中に立ってとどまっておられました。
韋提希夫人はその御姿を見て、礼拝しました。礼拝してから釈尊におっしゃいました。
「私は今、み仏の力のおかげで阿弥陀如来と観音菩薩・勢至菩薩の御姿を見ることができました。釈尊が入滅された後のさまざまな人々等は、どのようにして阿弥陀如来と観音菩薩・勢至菩薩の御姿を見ることができますでしょうか。」と。
釈尊はおっしゃいました。「あなた、および他の人々は、阿弥陀如来の御姿を見たいと思うならば、ぜひとも想い描き念じるべきです。
七つの宝石でできた浄土の地面の上に蓮の花があることを想い描きなさい。
蓮の花を想い描いたならば、次にぜひとも阿弥陀如来を想い描きなさい。
阿弥陀如来を想い描く時、この心が如来の三十二相になると想いなさい。
阿弥陀如来の頭のてっぺんから、結跏趺坐の足の下に至るまで、阿弥陀如来の三十二相のひとつひとつをすべて想い描きなさい。
心の想いに従って、しかるべき時に、阿弥陀如来の御姿が現れます。」と。
これは、阿弥陀如来の三つの力がその人に加わって阿弥陀如来の御姿を見ることができるということです。
これも、阿弥陀如来の高度な集中力によって阿弥陀如来を見る・阿弥陀如来に出遇う縁(見仏三昧増上縁)といいます。