現代語私訳 善導大師『阿弥陀如来を観想する教えの入口』(観念法門) 第九節

現代語私訳 善導大師『阿弥陀如来を観想する教えの入口』(観念法門) 第九節



「念仏の道場に入るための方法」


第九節


念仏に集中するための道場に入りたい時は、もっぱら仏教の教える方法に依拠しなさい。
まず、道場を整理準備し、阿弥陀如来の御像を安置して、お香やお湯できれいにすべきです。
もし寺院がないとしても、きれいな部屋があればそれで良いです。
上記のとおりきれいに準備をしたならば、一体の仏像を西の壁に安置しなさい。
念仏者たちは、その月の一日から八日まで、あるいは八日から十五日まで、あるいは十五日から二十三日まで、あるいは二十三日から三十日まで、一か月を四つに分ければ良いでしょう。
念仏者たちは、各自、自分の家の仕事の程度を考えて、これらの時の中のしかるべき時において身心を清らかにしてこの念仏の道を行いなさい。
場合によっては一日から七日に至るまで、すべて清らかな衣服を着て、履物も新しく清らかなものを使いなさい。七日の間は皆、一日一回の食事にしなさい。簡素な食事や粗食にし、おかずは質素で量を少なくするよう心がけるべきです。
道場の中において、昼も夜も心を統一し、連続して心を専らにして阿弥陀如来を念じなさい。
心と声と、連続し、ただ坐り、ただ立ち、七日の間睡眠をとらないようにしなさい。
その時においては、仏像に礼拝したり経典を読誦したりすべきではありません。数珠もまた数えるべきではありません。ただ合掌して阿弥陀如来を念じると理解し、一回一回の念仏ごとに阿弥陀如来を見るということを想い描きなさい。
釈尊はおっしゃいました。「阿弥陀如来の純粋な金色の御身体の光明はくまなく照らし、端正なことは比べようもなく、心の眼の前にいらっしゃると想い描き念じなさい」と。
ちょうどそのように阿弥陀如来を念じる時に、もし立って念仏するならば立ったままで一万回・二万回念仏し、もし坐って念仏するならば坐ったままで一万回・二万回念仏しなさい。
道場の中においては、お互いに顔を向け合ってひそかに私語をすることがないようにしなさい。