現代語私訳 善導大師『阿弥陀如来を観想する教えの入口』(観念法門) 第五節、第六節

現代語私訳 善導大師『阿弥陀如来を観想する教えの入口』(観念法門) 第五節、第六節




「念仏に集中するための方法」



第五節


また、念仏者は浄土に往生したいと思うならば、ぜひとも戒を守り、念仏し、阿弥陀経を読誦すべきです。
一日ごとに阿弥陀経を十五回読誦するならば、二年で一万回となることができ、一日ごとに三十回読誦するならば、一年に一万回となります。
一日ごとに一万回念仏をしなさい。
また、時に応じて、浄土の荘厳に関することを礼拝し讃嘆すべきです。
ぜひとも大いに精進努力すべきです。
もしくは、一日に念仏を三万回、六万回、十万回できる人は皆、上品上生の人です。
その他の功徳もすべて回向して往生しなさい。このことを知るべきです。
この節よりも前の節において、「阿弥陀如来の御姿の観想に集中するための方法」は明らかにしました。




第六節


『般舟三昧経』の「問事品」には、七日七夜の間、道場において念仏に集中する方法が説き明かされ、以下のような意味のことが述べられています。


釈尊は、跋陀和菩薩に、
「『十方のあらゆるさまざまな仏たちの前に立つ』という高度な集中状態の観想があります。よくこの観想の方法を実践すれば、あなたは聞いたとおりのことをすべて得ることができます。」とおっしゃいました。
跋陀和菩薩は釈尊に申し上げました。
「どうか私のためのそのことを説いてください。その教えは、私たちを救い助けることが多く、十方のあらゆる方角の人々が安穏に生きていけるようにしてくれることでしょう。さまざまな生きとし生けるもののために、大いに明らかな相(すがた)を現わしてください。」
釈尊は、跋陀和菩薩に告げられました。
「『心の集中』という名の高度な集中状態の観想があります。仏道を学ぶ人はいつもこの観想を守り、学び、保って、他の観想の方法に従うことがないようにすべきです。
この観想方法は、さまざまな功徳ある行いの中でも、最も第一のものです。」」