鶴見俊輔・重松清 「ぼくはこう生きている 君はどうか」

ぼくはこう生きている 君はどうか

ぼくはこう生きている 君はどうか


鶴見俊輔さんと重松清さんの対談。

鶴見俊輔さんは、本当に、その精神の型といえばいいのだろうか、智慧といえばいいのだろうか、あらためて学ぶところの多い、すごい方だと思った。

・1905年が日本の教育の分岐点で、そこからおかしくなっている。それ以前のゲマインシャフト的なあり方こそ、日本の良さを育んでいた。

・途中点を与えることの大切さ。

・寄り道の大切さ。特に哲学においては。

・箱からこぼれおちる。それが思索の始まり。

・屈しもせず、自殺もしないで生き残ることの大切さ。

・「元気で良かったね」が子育てや教育の原点。

・自分の小説や文章は呼び水と思って書く。

・ひらめきと持久力が大事。

・本を、自分の人生の一部として読む。

・単なるlearningではなくunlearn(学びほぐす、学び解く)ことが大事。

・自分の血肉になるものを持つことがどれほど大切か。

・自分の中にいま何を溜めておくか。それが、老いを迎えることの準備にもなる。

・仕草やカタチの復権の必要。

などなど、とても大事なヒントをもらった気がする。

重松清の本もいろいろ読んでみたい気になった。

あと、鶴見俊輔さんが、日本のプラグマティズムの系譜として、高野長英福沢諭吉夏目漱石石橋湛山都留重人を挙げているけれど、それに鶴見さん自身も加えたものが、たしかに日本の非常に貴重なプラグマティズムリベラリズムの系譜の気がする。
これをしっかり学び、私の血肉にしたいものだと思った。

良い一冊だった。