- 作者: 大塚公子
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- 作者: 大塚公子
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この本を読むまでは、私は死刑の存続か廃止については、あんまりはっきりした意見を持てないでいたのだけれど、この本を読んで、死刑制度は廃止した方が良いのではないかと今は考えるようになった。
この本は、死刑を実際に執行する刑務官の人々の体験談が書かれている。
多くの実際に死刑を執行する立場の刑務官や、言い渡しをする拘置所長が、大きな心の傷を受け、不眠症や言うに言われぬ苦悩を抱えるに至る姿が描かれていた。
死刑というのは、決して抽象的な制度ではなく、あまりにも生々しい、具体的な事実なのだということを、この本を読んではじめて思い知らされた。
死刑の存廃については軽々に決めるべきではないし、さまざまな議論や意見があっていいと思う。
しかし、存続を主張する人たちも、一度この本を読んでから議論した方が良いのではないかと思った。
仏教には、「殺してはならない、殺さしめてはならない」という戒律、不殺生戒がある。
死刑が、国家による殺人だったとして、国民のひとりひとりが殺人に加担しているという自覚はまずないと思うし、そのような自覚を持つべきとも言えないかもしれない。
しかし、死刑制度の存続を支持するというのは、刑務官の人々に「殺さしめる」ことに加担し続けるということかもしれない。
死刑があるために傷つく人は多い。
そのことに、日ごろ死刑制度の現場からは程遠い、私たち一般国民も、この本などを通じて、本当は思いを致すべきかもしれない。
死刑制度の実態について考えさせられる、本当に衝撃的な一冊だった。