- 作者: 柳田邦男
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/11
- メディア: 単行本
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タイトルにひかれて読んでみたら、想像以上にとても良い本だった。
この本に出会えて本当によかった。
「みんな、絵本から」
「大人こそ絵本を」
というこの本の中のメッセージはとても興味深く、この本に紹介されているいろんな絵本をぜひ読みたくなった。
「いのちと響きあう言葉とは何か」
そのことについて考えさせられるさまざまな話も、とても心にのこった。
ボービーの「潜水服は蝶の夢を見る」という、二十万回のまたたきによって書かれたという本は、ぜひそのうち読んでみたい。
携帯やネットについて、特に青少年のその利用について柳田さんが発している警告は、あらためてとても考えさせられた。
「自分で調べて、自分で考え、考えたことを自分でまとめる」
その力を育てるには、やはり本を読むことが大事なのだと思う。
そして、PCへのタイピングのみでなく、手書きの大事さを述べておられるのも、なるほどーっと思った。
「読むことも、書くことも、生きること」
という柳田さんの言葉は、とても味わい深いと思う。
さらに、医療の崩壊についての警鐘や、刑事犯罪の時効制度についての問題の指摘も興味深かった。
この本でそれらの問題が指摘されていて、あらためて考えてみれば、かつて15年で時効が成立していた死刑相当犯罪について時効が廃止されたことと、診療報酬が増額されたことの二つは、民主党政権の大きな業績と言えるかもしれない。
それまでは長い間、問題が指摘されながら、動かないことだった。
「乾いた三人称の視点」から「潤いのある2.5人称の視点」へ。
日本が本当の意味で、人間らしい社会となり、人間らしい心を持つためには、これから多くの課題があると思うが、そのためにとても大事な示唆を与えてくれる好著だと思う。