「仏説四輩経」の一節に思うこと

「仏説四輩経」を読んでたら、在家の男子の生き方について説かれた部分があって、なかなか面白かった。


「もし男子ありて、心志を道に繋(か)くれども出家すること能はざる者は、愛欲の中に在るとも、常に五戒と月の六斎を受持すべし。

第一には父母に孝順し、家を治め子を養ひ、朝暮に焼香然燈し三尊を稽首し、十方に悔過し、四輩を恭敬せよ。

慢軽にして自大なることを得ざれ。

慳貪を去離せよ。

常に至誠を以てせよ。

世の人を欺殆することを得ざれ。

世間の人の妻婦と同席に坐起し、住行に相ひ随ひ、同室に異床することを得ざれ。

四事(衣服、飲食、臥具、湯薬)を除去し、四等心(慈悲喜捨)を以て、普く一切を視よ。

老者には父の如くし母の如くし、少者には弟の若(ごと)くし子の若くせよ。

恒に明度の法薬を以て衆病を洗除せよ。

妄りに瞋恚罵詈することを得ざれ。

常に無極方便を以て、世の人を誘ひ解きて大乗に入らしめよ。

新学の者のために深経なる奥妙の義を説くことを得ざれ。

常に想識を除き無罜礙者たらしむべし。

衣服を綺飾することを得ざれ。

世間の妻女と戯調言語し、往来報答し以て因縁を致すことを得ざれ。

是くの如くする行者を清浄なる道人と為す。」



うーん、なかなか考えさせられる。

ちなみに、四輩とは、出家・在家の男女のこと。

四輩共通の戒めとしては、以下のことが四輩経の中に説かれていた。

「汝が心を清め慎め、身口を守護せよ。恒に四等(慈・悲・喜・捨)を以て衆生を済へ。道宝の慧恩を一切に施せ。仏の教誡めの如くせば必ず世を度することを得ん。」

これらの言葉、大事にしたい。

あと、ふっと思ったのだが、今の日本は、こと政治に関していえば、「妄りに瞋恚罵詈することを得ざれ。」の反対ばかりがまかりとおっている気がする。

「慢軽にして自大」で、「世の人を欺殆」し、至誠のかけらもないが多くのマスコミやブロガーたちなのだろう。

「老者には父の如くし母の如くし」というのは露塵ほども思わず、自分よりはるかに年上で、企業だったら定年ぐらいの年齢の菅総理に対しても、親の仇か何かのように罵倒や悪意を持つのが流行りのようだ。

五濁の悪世、末法の世とはわかりながらも、すこしは四輩経のような精神が今の日本ももうちょっとあった方がお互い生きやすい世の中になるのではないかとあらためて思われた。