心の内戦の時代を生き抜くために

自殺者数 13年連続で3万人超
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011010700728

<<
昨年1年間の自殺者数(速報値)は、前年比3.9%減の3万1560人だったことが7日、警察庁のまとめで分かった。統計をとり始めた1978年以降では12番目の多さで、自殺者が3万人を超えるのは13年連続となった。


以前、五木寛之さんの講演を聞いたとき、年間自殺者数が三万人を超えるということを指して「心の内戦の時代」と表現していた。

たしかにそうかもしれない。

日清戦争での日本側の死者数が一万七千人ぐらいだから、毎年日清戦争を二回弱やったぐらいの人が、自然な避けられない死ではなく、自殺で死んでいるのが今の日本社会ということなのだろう。

ちなみに、自殺やうつ病によって日本社会が蒙った経済損失額というのを厚労省が試算していて、それによれば2009年の経済損失額は1兆9000億円だそうである。

http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2753878/6153568

ちょっと天文学的な数字だが、二兆もの国富が失われるというのは、これは本当に心の内戦というか、ひどい事態である。
それらの人々に適切なケアがなされることは、もちろん当の本人や家族にとっても大事なことだが、社会の経済のためにも、非常に大事なことであろう。
社会の防衛のためにも、貴重な人材や経済の活力や国富が失われぬように、国家社会全体で自殺をなるべく防ぐ試みが重要と思う。


ちなみに、自殺について、日本には自殺対策基本法があり、その第六条では、政府のみでなく国民の責務も記されている。


<<
(国民の責務)
第六条  国民は、自殺対策の重要性に対する関心と理解を深めるよう努めるものとする。
<<

国法を遵守するつもりであるならば、官民ともに、自殺対策のために各自知恵を絞り工夫することは義務なのだろう。

そのためには、まずは各自、自分自身が自殺しないように、きちんと自分の心身をケアして、生き抜くためのいろんな智慧を身につける必要があるのだと思う。
宗教や哲学や文学など、一見直接は役に立たなそうなものが、案外と人が本当に生き抜くためには大切ではないかと思う。

また、支えてくれる人がいるかどうかも、人間が生き抜くためには大きな要素だろう。
自分が支えて欲しいのであれば、まずは自分が人を支えることが大事であろうし、支え合うことで人はめったには倒れない存在になるのだと思う。

当たり前のことだけれど、自分と自分の周りの人間を慈しみ、大切にしていくことが、まずもって第一の、人間として、そしてこの時代を生きる日本国民としての責務なのだろうと思う。

人生は「苦」だと釈尊は言ったが、そう自覚すればこそ、自他を慈しむことを説いた。
昨今の日本人は、どうも自分を慈しむことが下手なのではないかと、ある外国の方から言われたことがある。
実際、私もそう言われて、そうだと思った。
自分を慈しみ、他を慈しむことが上手になることが、心の内戦の時代を生き抜くためには必要なことで、そのためには心を育てることを、他の何よりも大切にすることが大事なのだろうと思う。