昨日、安倍さんの銃撃による訃報を聞いて驚いた。
私の数少ないモノマネのレパートリーの一つが、安倍さんのモノマネだった。
たまにそれを使って人を笑わせたことがあった。
また、一度だけ十年ぐらい前に実物を見たことがあった。
そうしたことを思うと、昨日の安倍さんの訃報を聞いて、政治的なことは横に置けば、いささか寂しい気持ちになった。
今のところ、まだよくわからないところもあるが、報道によれば犯人の動機は政治的な事柄ではなく、カルト宗教をめぐる私怨のようである。
なので、当初ネットにおいて堀江貴文氏などを中心に主張された、報道や野党が安倍政権を攻撃しすぎたからこういうことになったということは、全く無関係な筋違いな主張だったわけだし、民主主義や言論への暴力による抑圧ということも、どうもやや問題が異なるようである。
見直されるべきは銃規制やSPの警護体制の問題であろうし、カルト宗教をめぐる問題であろう。
ただ、今後懸念されるのは、今後客観的にアベノミクスや安倍政治を評価したり検証することが難しくなるのではないかということである。
ただでさえ、右派やネトウヨに安倍さんは大人気で、何も批判するなという雰囲気を彼らが始終つくろうとしてきた。
ますます安倍さんの悲劇的な死を彼らは利用して、そうした雰囲気をそれらの人々がつくりだそうとしていくことは容易に予想できる。
死者に鞭打つことは嫌う日本の文化的土壌はさらに輪をかけて、そうした雰囲気をつくっていくことだろう。
どのような政権であれ必ず功罪があるものであり、安倍政権についても公正な客観的な立場からきちんと検証が行われるべきだろうし、しかもそれは今後の日本の針路に大きく関わると思われるが、2013年から2020年にかけてのかなり長い期間の政治政策の意味や長所短所について、特にその負の側面について、今後ものすごく論じにくくなり、検証が進まなくなるのではないかと思われる。
とはいえ、それは杞憂に終わるかもしれないし、案外人は忘れやすいものなので、今でこそ感傷的に安倍さんの死を嘆き悲しんでいる多くの人も、じきに忘れてけろっとしていくかもしれない。
また、岸田首相は、記者会見においても安倍さんの死を心から驚き悲しんでいる様子が伝わってきて、岸田さんは良い人なんだろうなぁとあらためて思ったが、岸田さん本人の気持は別として、政治に横やりを出す党内最大派閥の領袖がいなくなり、気兼ねなく「新しい資本主義」等々の自分の政治を行う態勢が整うことにつながるのかもしれない。
明日の参院選で自公が圧勝すれば、岸田さんは選挙結果と安倍さんの死により、求心力を強め長期政権への道を進んでいくことが可能になるのかもしれない。
何が良いことなのか悪いことなのか、人間の浅知恵ではわからぬこともあるのだろう。
ただ、誰であろうと銃で殺されて良いなどということがあるはずがなく、安倍さんはその点では本当に気の毒に思う。
二度とこのような事件が起こることがないように、銃規制やSP警護について警察を始めとして大きく見直し、事件の再発防止に努めて欲しいし、カルト宗教の問題が絡んでいるのであれば、報道各社はきちんと事実を隠さずに報道して欲しいと思う。
そうした至極当たり前のことが行われず、筋違いな野党バッシングや、政府に対する批判への嫌悪や言論抑圧が広がるようであれば、この事件は極めて悪い影響を今後の日本に与えるだけのこととなるだろう。
そうならぬことを願うばかりである。