枝野幸男著『枝野ビジョン』を読んだ。
自己責任を強調してきた新自由主義の流れを変えて、安心できる支え合いや助け合いの仕組みを政治や行政が率先して築いていくべきである、という主張自体は、私も基本的には賛成だし、異論はない。
が、まず、第一章の歴史観や宗教論があまりにも粗雑で、むしろなかった方が良いのではないかと思われた。
保守とリベラルの言葉遊びに走っている点も疑問である。
さらに、総論的な主張はわかるとして、たとえば社会保険制度をそれではどう具体的に組み替えていくのか、ロスジェネ世代をどう支援していくのか、いまいち具体策が見えず、理念的な主張に終始している感がある。
新自由主義や自己責任よりはこの方が良い、そのとおりだ、と思う人は今の世に多いと思うし、おそらくは必要な方向性は示しているとも思うのだけれど、「で?」「具体的には?」というのがどうも見えづらいので、読んでも高揚感や期待感に乏しいのではないかと思われる。
統計的な数字やデータをあげて、それらをどう具体的に変えていくのか、なかなか明確には示せない場合も多いとは思うものの、少しは示して欲しかったように思う。
もう一段、これをバージョンアップさせたものを世に提起していかないと、なかなかまだまだ政権交代は難しいのではなかろうか。
「本来の保守」という言葉遊びについて
https://elkoravolo.hatenablog.com/entry/2021/05/24/192601