- 作者: 渡辺喜美
- 出版社/メーカー: 角川SSコミュニケーションズ
- 発売日: 2010/01/10
- メディア: 新書
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最近、人気急上昇の「みんなの党」。
その考えを知りたいと思って読んだのだけれど、なかなか面白い本だった。
この本の中で、渡辺喜美さんは、「霞ヶ関改革」と「成長戦略」の二点を柱として打ち出している。
特に、「霞ヶ関改革」についてははっきりしたビジョンを打ち出している。
国家戦略局、内閣人事局、内閣予算局などを創設・充実し、官邸主導の政治を目指すべきことを主張。
鳩山民主党政権では、官邸主導政治を確立することに失敗しており、霞ヶ関のメガトン級の反発によって霞ヶ関改革がちっともできておらず、そしておそらくは官僚たちのリークによって小沢・鳩山両氏の政治資金疑惑が発生し、霞ヶ関改革が腰砕けになっていることを指摘。
天下り根絶のために、斡旋禁止違反に刑事罰を下すようにすべきことや、官邸や政治主導を支えるための裏方スタッフの公募、国会法改正、幹部公務員制度の導入、強力なリーダーシップによる公務員制度改革などを提言している。
「1940年体制からの転換」こそが、今の日本にとって喫緊の課題としている。
それらの提言はなかなか興味深いし、みんなの党は、霞ヶ関改革・公務員制度改革についての熱意やビジョンに関しては、とても良いのではないかと、この本を読んでいて思った。
ただし、成長戦略については、電気自動車や太陽電池、中国向けの米輸出に力を入れるということを言っているぐらい。
何より、一番疑問なのは、社会保障・福祉をどうするか、ほとんどわからないことだ。
しかも、基本的に郵政民営化には賛成のようで、郵政株の売却も主張している。
つまり、良くも悪くも、小泉改革の継承・徹底がみんなの党のビジョンであり、政策ということなのだと思う。
小泉さんが郵政民営化のシングルイシューのみで、社会保障や雇用や労働問題にほとんど無関心・冷淡だったように、みんなの党の渡辺さんも、霞ヶ関改革というシングルイシューには向いているし熱意や実力もあるかもしれないが、福祉や雇用問題にはどうも無関心で冷淡のようである。
民主党の枝野さんや新党改革の舛添さんが、小泉改革の最大の問題を内需が冷え込んだことだとはっきり認識し、福祉の充実によって内需の拡大を図ることを目指しているのに対し、みんなの党の渡辺さんは需給ギャップの問題に危機感を持っていると言うわりには、福祉の充実による内需拡大ということはほとんど考えていないか、認識していないようである。
みんなの党は、今とても人気が急上昇しているようだが、支持しようと思う人は、
・ 小泉改革の継承・徹底ではないか
・ ネオリベラリズムではないか
・ 郵政株式売却は本当に正しいのか
・ 社会保障をどうするのか
・ 本当にみんなの党の成長戦略だけで大丈夫なのか
ということについて、しっかり調べ、考えてから、投票した方がいいのではないかと思った。