スーチーさん勝利の報を聞いて

ミャンマー政権交代へ スー・チー氏主導、野党が過半数】(東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2015111001001985.html


スーチーさんの率いる政党が選挙で圧勝という報道を聞いて、ある種の感慨を覚えずにはいられなかった。

というのは、私が高校生だった頃、『自由』というスーチーさんの文章や演説を集めた本を読んだことがあり、あれから二十年近く経ったことを思ったからである。

あれから二十年ほど、スーチーさんは、一度もあきらめず、意志を持ち続け、ついに国を変えた。
強い一念は、どんな困難をも乗り越え、実現するのだろう。

その一方、自分はといえば、高校の頃思っていた多くの夢や志は忘れかけ、変わらない日本のありさまに失望し、挫け、諦念に流れつつあるように思う。
ミャンマーに比べれば、はるかに自由があり、権利も認められている日本にありながら。
軟禁状態にあったスーチーさんに比べれば、なんでも自由に生きることができる身でありながら。

もちろん、わかりやすい目に見える専制であるミャンマーの軍部と、先進国にあって極めて精緻で真綿で首を絞めるような「穏和な専制」とでも言うべき日本の政治状況は、かなり性質が異なるものではある。

とはいえ、大切なことは、やはり、あきらめないことなのだろう。

いかに心挫けるようなことが多かろうと、状況が理不尽であろうと、初一念を忘れないものが勝つ。
そのことを、スーチーさんは、身をもって示してくれた。

また、そのうち『自由』を読み返してみたいし、新たなスーチーさんのメッセージを集めた本も読んでみたい。
ミャンマーは、本来は大地も豊かで、文化も高く、宝石や果物に富み、国民の多くは穏和で敬虔な仏教徒で、しかるべき秩序と自由さえあれば、おそらくは東南アジアでも最も栄える国となるだろう。
これからのミャンマーが、善い国となり、幸せであって欲しいと思う。

そしてまた日本も、未だに存在するいろんな不条理を、ひとつひとつそのつど正し、本当の意味での豊かな平和な世にしていきたいと思う。