映画 「パウロ ローマ帝国に挑んだ男」

ローマ帝国に挑んだ男 -パウロ- [DVD]

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けっこう面白かった。
思っていたよりもよくできていた。

キリストと仏陀を除けば、人類の歴史に最も影響を与えたのはパウロだったのかもしれない。
パウロがいたからこそ、聖書が世界中で読まれるようになったし、いま私もこうやって読んでいるのだろう。
パウロがいなければキリスト教がこんなに広まることはありえなかった。

そう考えると、ダマスカスの砂漠においてパウロがイエスの光と出会ったことが、ある意味世界史の転換点だったのかもしれない。

あと、この映画でひとつ良かったと思うところは、ガマリエルがよく描かれていたことだ。
ガマリエル自身はあくまでユダヤ教徒で、キリストを信じていないのだけれど、常に寛容と良識ある立場に立ち、キリスト教徒やパウロに対して理解ある立場を示している。
たぶん、実像もそうだったのだろう。
私が知っているユダヤ教の実際の姿は、イエスパウロを弾圧した不寛容なものとはぜんぜん違っていて、非常にリベラルで寛容な開明的なものだけれど、ガマリエルの弟子達の伝統が今のユダヤ教につながっていると考えれば、よくわかる気がする。

それにしても、パウロの文章は、あらためて名文と思う。
人類の生みだした文章の中で、最も胸を打つ名文の数々と思う。
これほど読んでいて心が燃え、また慰められ、力をもらえる文章はめったにないと思う。

良い作品だった。