西原理恵子 「いきのびる魔法」

いきのびる魔法―いじめられている君へ

いきのびる魔法―いじめられている君へ


泣いた。


前半には、日本の生きづらい世の中では、逃げてもいいので、ともかく生きよう、そして自由は有料なので、働いて稼ごう、と日本の子どもたちに向けた漫画。


後半は、カンボジアかどこか、よくわからないけれど、どこか途上国らしき国の物語。


この後半の物語が泣けて仕方がない。


たしかに、私たちが生きている日本も、日本なりの苦労があって、生きづらい思いをしている人は山ほどいる。
毎年三万人ぐらい自殺者がいる日本も、それなり過酷な、見えざる戦いのあっている社会と言えるかもしれない。


ただ、勉強すらろくにできず、飢え、そもそも安全もないような内戦中の途上国は、もう何も言えない、ただ絶句するしかない状況である。


もちろん、だから日本に生まれて幸せだと思えとか、我慢しろというのではない。
そのようなことを言っても意味がない。


しかし、何か、広い世界を見ると、おのずと違った感覚も出てくるような気もする。


この本は、何一つ説教くさいことは言わず、ただこの二つの物語を漫画でわかりやすく描いてある。
それを感じることが大切なのだと思う。