絵本 「戦争が終わっても」

リベリアは、アフリカの中では最も早く独立した国。
19世紀の半ばに、アメリカから帰国した解放奴隷たちが建てた共和国だった。


しかし、その後の歴史は厳しく、近年も悲惨な内戦がずっと続いていた。


この写真絵本は、著者が実際に出会って話を聞いた数人の少年・少女たちの写真と証言をまとめてある。


内戦の中、少年でありながら、戦争に駆り出され、捕虜の処刑を行い、自分自身が死んだような深い心の傷と闇を抱えている少年。


戦争が終わった後も、貧しくて学校にも行けないし、食べていくのがやっとで、元少年兵の仲間たちとその日暮らしで、酒やマリファナで束の間うさを晴らしている少年。


家族が皆戦争で死んでしまい、引き取られた家では四六時中こきつかわれ、学校に行くこともできず、束の間の時間を見つけては自分で教科書を読んでいる少女。


迫撃砲で片腕をもぎとられたが、その後、家族や友人たちとともに、健気に逞しく生きて、将来は医師になりたいと言っている少女。


いろんなそれぞれの物語が描かれるが、戦争というのは、こういうことなんだなと、この本を読みながら、ため息をつかざるをえなかった。


戦争というのは、観念や絵空事ではなく、こういう傷や犠牲を子どもたちに強いるリアルな出来事。


そのことを、平和な日本にいるととかく忘れてしまいがちだけれど、リベリアからのこの写真や証言の数々に、深く考え込まされる。