- 作者: 久松英二
- 出版社/メーカー: 京都大学学術出版会
- 発売日: 2009/03/30
- メディア: 単行本
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アトスにおいて行われる、いわゆる「イエスの祈り」について詳しくまとめてあり、面白かった。
「イエスの祈り」とは、「主、イエス・キリスト、神の子、私を憐れみたまえ」という言葉をひたすら唱える祈りである。
アトスの静寂主義における祈りとは、神智的観想であり、情念の浄化だと位置づけられてきたこと。
名を呼ぶことは、臨在と救いの効果を得ると考えられたこと。
イエスの想起として、名を称えることが重視されていたこと。
ヌース(知性)を儚いものから引き離し、ひとりでひたすらこの瞑想を行えば、「タボルの光」という光が見え、それがイエスを見た体験だととらえられてきたこと。
などなどがわかりやすく書かれていた。
東方正教会においては、神との一致や体験的知というものが重視され、神の本質は不可知だとしても働きとして知ることができ、光は働きだととらえられていた、ということなど、西方教会とは違って本当に東洋によく似た、とても面白い内容だと思った。