ペテロの手紙より 信仰に加えるべき努力

「ペトロの第二の手紙」を読んでいたら、とてもすばらしい箇所があった。


「それゆえにこそ、あなたがたは、
あらゆる熱意をかたむけて、
信仰に徳を、
徳に知識を、
知識に節制を、
節制に忍耐を、
忍耐に敬虔を、
敬虔に兄弟愛を、
兄弟愛に愛を付け加えなさい。」
(ペトロの第二の手紙 第一章 第五〜七節(新約聖書翻訳委員会訳))


なるほどなぁと思う。


ちなみに、英訳は以下のような感じ。


“For this very reason, make every effort to add to your faith goodness;
and to goodness, knowledge;
and to knowledge, self-control;
and to self-control, perseverance;
and to perseverance, godliness;
and to godliness, mutual affection;
and to mutual affection, love. “
(Book of 2 Peter 1.5~7 NIV)


詳訳聖書だと、さらに以下のような訳である。


For this very reason, adding your diligence [to the divine promises],
employ every effort in exercising your faith to develop virtue (excellence, resolution, Christian energy),
and in [exercising] virtue [develop] knowledge (intelligence),
And in [exercising] knowledge [develop] self-control,
and in [exercising] self-control [develop] steadfastness (patience, endurance),
and in [exercising] steadfastness [develop] godliness (piety),
And in [exercising] godliness [develop] brotherly affection,
and in [exercising] brotherly affection [develop] Christian love.
(Book of 2 Peter 1.5~7 AMP)


詳訳聖書から和訳するならば、


「まさにこの理由により、(その神聖な約束に)あなたの熱心さを付け加えることに、あらゆる努力をしなさい。
あなたの信仰の実践において、徳(卓越性、不屈の決意、キリストのエネルギー)を育てることを、
そして、徳(の実践)において知識(知性)を(育てることを)、
そして、知識(の実践)において自らをコントロールすることを(育てることを)、
そして、自らをコントロールすること(の実践)においてゆるぎなさ(忍耐、根気)を(育てることを)、
そして、ゆるぎなさ(の実践)において篤信(敬虔)を(育てることを)、
そして、篤信(の実践)において仲間への愛を(育てることを)、
そして、仲間への愛(の実践)においてキリストの愛を(育てることを)。」


という感じに訳せると思う。


本文中の「その神聖な約束」というのは、直前の箇所で言われている、キリストによる救いの約束のことである。


十二使徒のペテロ(ペトロ)は、周知のとおり、福音書にも最もよく登場する弟子だし、その人間的なエピソードもとても心を打つものがある。
しかし、福音書の中ではほとんど多くは語らない。


このペテロの手紙は、実は作者は違うといった説もあるようだ。
しかし、この箇所は、おそらくペテロがもし自由に言葉で自分が思っていることを表現することができたならば、このように述べたかもしれないと思わされるような、簡潔だがよく信仰の精髄を伝える大変良い文章だと思う。


かれこれ十年ぐらい前に、ヴァチカンの地下でペテロのお墓を間近で見たことがある。
たしかにひしひしと、何か圧倒的な慈愛やオーラのようなものを感じた。


このような信仰で生き、生涯をかけてその信仰や愛を育て続け、実践し続けた人の残す気魄やオーラのようなものは、たしかにあのような岩のようなものなのかもしれないと、この文章を読んでいると、思い出される。