- 作者: 守部喜雅
- 出版社/メーカー: いのちのことば社
- 発売日: 2011/07/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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非常に興味深い本だった。
この本によれば、勝海舟は、最晩年、キリスト教の信仰を告白していたそうである。
勝海舟の息子と結婚したクララや、その他の何人かの勝海舟と親交のあった西洋人たちの日記や書簡から、当時の証言を再構成してあり、非常に説得力があった。
若い時からわりとキリスト教との接触があり、関心や理解はもともとあったようだが、本当にキリストを受けいれたのは最晩年、息子に先立たれたことなどがあってからだったようである。
クララの一家との交流も大きく影響したようだ。
明治以後、最も早くに政府高官でキリスト教の解禁を建白したのが勝海舟だったというエピソードや、津田仙をはじめとした初期の日本のキリスト者との勝海舟の深い交友関係も興味深い。
また、明治以後、勝海舟は漢訳の聖書を愛読していたそうだ。
「義人必由信而得生」
とクララの母のお墓に勝海舟は揮毫したそうだが、これは旧約聖書のハバクク書の一節。
パウロがロマ書で引用している箇所でもある。
また、この本を読んでいて興味深かったのは、西郷隆盛は明治になる前、幕末の比較的早い段階から漢訳聖書を蔵書に持っていたらしく、おそらくかなり読み込んでいたのではないかという話である。
我々が思う以上に、幕末の日本の志士たちに、漢訳を経由して聖書は大きな影響を与えていたのかもしれない。
私にとっては、個人的に、勝海舟が最晩年にキリスト教の信仰に至っていたとすると、非常に腑に落ちる不思議な出来事が以前あったので、とても興味深かった。