矢内原忠雄 「キリスト教入門」

キリスト教入門 (中公文庫)

キリスト教入門 (中公文庫)


良い本だった。
わかりやすくキリスト教について解説してあり、まとめてあった。

また、この本は、もっと言えば、「無教会主義キリスト教入門」としてとてもよくまとめてあると思った。

無教会主義とは、内村鑑三によって始められたもので、カトリックプロテスタントの教会に属さなくても、洗礼や聖餐などの儀式を受けなくても、その人がイエスを救い主として信じるならば、それでOKという考え方。

この本の著者の矢内原忠雄は、内村鑑三の弟子にあたるそうで、戦後は東大総長も務めた人物。
それだけに、理路整然と、わかりやすく無教会主義のポイントを明晰に説き明かしてあった。

キリスト教一般、特に無教会主義に興味のある人には、良い一冊なのではないかと思う。



これを読んで、自分も無教会主義キリスト教徒にならなれるのではないか、いや、自分はクリスチャンじゃないとばっかり思ってたが、実は無教会主義のカテゴリーにはひょっとしたら入るんじゃないだろうか、と読んでて思えた。
その点は、実にありがたい本だった。




(追記) (2015年 2月7日)

しばらくして読み直して、あらためて舌を巻いた。
入門書というより、これはある意味、極意というか、キリスト教のエッセンスの本だと思う。
平明な文章なので、最初読む時はさらっとわかった気になっていたけれど、しばらくして読み直すと、いかにこの本が深い本か驚嘆させられる。
繰り返し味読すべき一冊。