絵本 「ぼうさまになったからす」

ある村には、からすがたくさんいた。

しかし、戦争でその村から多くの男たちが出征していった年。

からすがその村から姿を消した。

どうしてだろうと話す村人に、村の中で最も年をとっているおばあさんが、からすたちは、遠い大陸や南の島々で死んだ男たちのとむらいのために、海を渡り、お坊さんになって供養してくれているのだという。

からすたちが、黒い墨染めの衣を来たお坊さんになって、供養のための石積みをつくり、手を合わせてお経をあげてくれている。

平和な時代になって、再び村には多くのからすが来るようになった。

二度と繰り返してはならない、というところで、この絵本は終わっていた。

この話は、この絵本の作者の創作ではなく、長野県に誰がつくったともわからず、いつの間にか語り継がれるようになった物語だそうである。

私には、このからすが姿を変えた、黒い墨染めの衣を着て亡くなった兵隊さんたちの供養をするお坊さんの絵が、なぜだか親鸞聖人のように思えてならなかった。

多くの人に読んで欲しい、名作絵本だった。